媒介(ばいかい)とは、「2つのものの間に立ち、両者を仲立ちする」という意味を持ち、不動産用語での媒介とは「売主と買主の間に立って両者の契約を成立させること」を意味します。
不動産業界で、「媒介」は、不動産売却を行う際に「媒介契約(ばいかいけいやく)」という言葉で頻繁に使われます。この「媒介契約」は、不動産売却時に不動産会社と結ぶ重要な契約となりますので、これから不動産売却をお考えの方は、しっかりと理解しておくことが大切です。
また、「媒介」と混同されがちな言葉に「仲介」がありますが、同じような意味を持っていても、不動産業界では使われるシーンが異なります。この違いについても理解しておくことで、不動産売却の取引がスムーズになるでしょう。
不動産に関するさまざまな知識を事前に把握しておくことで、より高く、より有利な売却を目指すことができるようになりますので、今回は、媒介について、類似のワードやその周りの契約内容について詳しく解説していきたいと思います。不動産用語の基礎知識を身につけて、不動産売却成功を目指しましょう。
目次
1.媒介とは
冒頭でもお伝えしましたが、媒介とは「2つのものの間に立ち、両者を仲立ちする」ことを意味します。
「接点のないもの同士を橋渡しする」と言った方が、もっとイメージが沸きやすいでしょうか。
また、媒介は「病原菌をうつす」という意味も持ち合わせています。
・蚊が伝染病を媒介する
というような使われ方をしますが、今回は不動産用語での「媒介」の意味を見ていきましょう。
1-1.不動産用語の「媒介」の意味
媒介は「2つの間をとりもつ」という意味を持ちますが、不動産業界における「2つ」とは売主と買主、「間」が不動産会社となります。
不動産取引での「媒介」とは、売主と買主の間に立ち契約を成立させることです。
不動産用語では「媒介契約」という言葉で使われることが多いでしょう。媒介契約は、不動産売却の際に売主が不動産会社と結ぶ契約のことを言います。この媒介契約は、不動産売買において重要な契約となりますので、後ほど詳しくご説明したいと思います。
また、不動産用語には「媒介」と類似した言葉に「仲介」があります。どちらもほぼ似たような意味を持つのですが、混同してしまう方も多いようなので、次に「仲介」について解説いたします。
2.仲介とは
仲介とは、「両者の間に入って、話をまとめること」を意味します。
仲介は、直接話し合うことのできない両者の間に入り、問題解決など、話をまとめることを言います。「両者を橋渡しをする」ということを表すので、媒介と仲介はほぼ同じ意味となります。
2-1.不動産用語の「仲介」の意味
不動産用語における仲介は、売主と買主の間に入り、まとめることを意味します。
不動産売却の際、仲介に入った不動産会社は、売主に代わって買主を見つけるための活動をしたり、売買契約書の作成や重要事項説明等の手続きを行います。そして売主は、取引が成立すれば不動産会社に「仲介手数料」を支払います。
では、不動産業界において「媒介」と「仲介」はどのような使い分けがされるのでしょうか。
3.「媒介」と「仲介」は何が違うの?
先でもお伝えしましたが、「媒介」と「仲介」の意味にはほぼ違いはありません。ですが、不動産取引においては、状況によって使い分けられています。使われ方の違いは以下の通りです。
「媒介」は、不動産の売却契約のシーンに使われ、「仲介」は不動産取引に対して幅広く使われます。
3-1. 不動産売却を契約するときは「媒介」
不動産売却を不動産会社にお願いする場合、「媒介契約」を結びます。そして、この媒介契約は、不動産売却において、売却成功を左右する大切な要素の1つとなります。
媒介契約書は、不動産会社がどのような条件で売却活動を行うか、成功した際の報酬はどうするのかという内容を定めて契約を取り交わします。媒介契約は、売主と不動産会社の間でトラブルを避けるためにも必要なものです。
「媒介契約」については、本記事後方で詳しくお伝えしますが、さらによく知りたいという方は、こちらの記事を読むことをおすすめいたします。
➡媒介契約とは?3種類の媒介契約の違いと選び方をわかりやすく解説
3-2. 不動産会社に依頼することを「仲介」
「仲介」は、不動産会社に依頼すること全般を指します。
家を売却するとき、また、家を購入したいとき、個人間での取引を行うとなると、手続き上でも大変ですし、トラブルが起こってしまった場合の対処は時間も要してしまうでしょう。
そこで、不動産会社に頼るのが一般的です。売主・買主、両方の立場から不動産会社に依頼をすることを「仲介」と言います。不動産会社に仲介を依頼し、取引が成立したら不動産会社に「仲介手数料」を支払うことで関係が成り立ちます。
「媒介」と「仲介」の違いについては、こちらの記事で解説していますので、さらに詳しく知りたい方はご一読ください。
➡媒介と仲介の違いは?不動産用語をわかりやすく解説
それでは、次に、仲介手数料について詳しく見ていきましょう。
3-3.仲介手数料も媒介手数料も同じ
一般的には、不動産会社に仲介を依頼した際に、成功報酬として支払う手数料のことを「仲介手数料」と呼びます。「媒介手数料」と言われることもありますが、2つの言葉は同じ手数料を指しています。ここでは、仲介手数料として解説していきます。
仲介手数料とは、不動産売買の仲介を不動産会社へ依頼するためにかかる成功報酬です。仲介を依頼していても、取引が成立しなければ支払う必要はありません。
また、仲介手数料は宅地取引業法で上限額が決められているので、不動産会社は上限を超えて請求することはできません。仲介手数料の上限は以下の通りです。
仮に、不動産の売買価格が3,000万円だとします。
仲介手数料は取引物件によって算出できる速算式を用いて計算できます。
消費税を10%で計算すると仲介手数料は以下の通りです。
定められているのはあくまでも仲介手数料の上限金額です。上限以下の金額であれば不動産会社は自由に仲介手数料を定めることができます。仲介手数料については、仲介をお願いする不動産会社にあらかじめ確認しておきましょう。
それでは次に、不動産売却成功のポイントともなる「媒介契約」について解説いたします。
4. 媒介契約には3種類ある
不動産売却時に不動産会社と結ぶ「媒介契約」には以下の3種類があります。
売主は、この3つの中から媒介契約を選択することになりますが、どの契約を結んだとしても最終的に不動産会社に支払う仲介手数料は同じです。
この媒介契約の選択は、その後の不動産売却が高く売れるか、早く売れるかに関わります。媒介契約にはそれぞれ特徴がありますので、この違いをしっかり理解しておくことが、不動産売却成功の鍵を握る1つとも言えるでしょう。
それぞれの媒介契約には特徴があります。
一般媒介、専任媒介、専属専任媒介、この3つの違いを表で確認してみましょう。
3つの媒介契約の一番の大きな違いは、複数の不動産会社に依頼をできるか、1社のみに絞って依頼をするかという違いです。また、自分で探した買主との直接取引が認められているかという違いも、媒介契約を選択する際には抑えておきたいポイントです。
一般媒介契約の場合、複数社に依頼ができ、直接取引が認められているため、自由度の高い契約内容となりますが、不動産会社からのサポートがあまり受けられないのが特徴です。
反対に、専任媒介契約、専属専任媒介契約は、不動産会社を1社に絞ることになりますが、信頼できる1社に任せることにより、手厚いサポートを受けながら売却活動を行うことになります。
一般的には、媒介契約は「一般媒介契約」と「専任媒介契約」どちらかで選ばれることが多いでしょう。この2つの媒介契約の違いをさらに詳しく知りたいという方はこちらの記事をおすすめします。
➡一般媒介と専任媒介の違いとは?どっちを選ぶべきか徹底解説!
5.まとめ
「媒介」とは、不動産用語で売主と買主の間に立ち契約を成立させることを言います。
媒介という言葉は、不動産売却を不動産会社に依頼する際に、不動産会社と結ぶ契約:媒介契約として使われます。この「媒介契約」は、不動産売却を成功させるポイントの1つとなりますので、3種類ある媒介契約の特徴をよく理解して、自分に合った契約を選択するようにしましょう。
また、不動産用語には「媒介」に類似した言葉で「仲介」という言葉がありますが、意味としては媒介とほぼ同じです。「媒介」は、不動産売却を契約するシーンで使われ、「仲介」は不動産会社に依頼すること全般を指します。
不動産用語は聞き慣れないものが多くありますが、言葉よく理解しないまま手続きを進めてしまうのは少し危険かもしれません。スムーズによりよい条件で不動産売却ができるよう、しっかりと不動産用語の基礎知識を身につけておくとよいでしょう。