不動産の売却で「少しでも高く売りたい」と思い、もっとも査定額が高い不動産会社に売却を依頼する人は少なくないでしょう。
しかし、高額査定というポイントだけで大切な不動産の売却を決めると「いっこうに売れない」「査定額よりも低い価格で売却する」ことになりかねません。
では、売主はどのようなことに気を付けるべきでしょうか?今回は、大切な不動産を売りに出す前に知っておきたいポイントを3つ紹介します。
ポイント1.「一括査定サイトの査定額=売却額」ではない
不動産を売却する際、多くの人が利用する一括査定サイト。簡単な情報を入力すれば複数社の簡易査定額がわかるので便利ですよね。
しかし、一括査定サイトで提示される査定額は実際の売却額と一致するとは限りません。査定額は将来の売却額を約束するものではないため、利用時には注意が必要です。
「高額査定=良い不動産会社」とは言えない
一般的に、不動産一括査定サイトの運営は、サイトに掲載される不動産会社が支払う手数料によって成り立っています。
つまり、不動産会社には売却契約の成立に関係無く一括査定サイトへの掲載コストがかかっています。そこで一部の不動産会社では査定額を高めに提示し、より多くの売却案件を獲得しようとしているのです。
しかし、査定額は売却の成功や将来の売却価格を保証するものではありません。「初回の簡易査定では3,000万円だったのに実際はなかなか売却できず、価格を引き下げた結果、2,200万円で売ることになった」という可能性は十分あります。
したがって、不動産会社選びを査定額だけで判断しないように気を付けてください。高額査定だからといって、高く売却できるとは限らないのです。
ポイント2.売る前に相場を把握しておく
不動産を相場に合わない高めの価格で売り出すと、買い手がつかずに売却が長引く、実際の相場よりも低い価格で売る羽目になってしまう可能性があります。
こうした失敗を防ぐためにも、売主は不動産会社に依頼する前に不動産の相場を自分なりに把握しておくことが大切です。あらかじめ相場を把握しておけば、不動産会社が提示する査定額が適正かどうかを判断でき、売却後の資金計画も立てやすくなるでしょう。
相場を把握する簡単な方法
不動産の相場を把握する際は、不動産売却サイトの「売り出し価格」ではなく、実際に取引が成立したときの「成約価格」に注目してください。
売り出し価格は売主の希望や市場の動向などが反映されますが、必ずしもその価格で取引が成立するわけではありません。対して成約価格は実際に市場で受け入れられた価格であり、リアルな相場を反映していると言えます。成約価格は、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」を活用すれば簡単に調べられます。
【使い方】
- 左下の「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索・ダウンロード」をクリックする
- 「地域」→売却不動産の【住所】または最寄り駅の【路線・駅名】を入力する
- 「価格情報区分」→【成約価格情報】にチェックを入れる
- 「種類」→一戸建てであれば【土地と建物】、マンションは【中古マンション等】を検索する
- 「時期」→できる限り直近数年を検索する
※成約価格情報は、指定流通機構(レインズ)保有の不動産取引価格情報を、国土交通省が個別の不動産取引が特定できないよう加工されています。
上記を入力すれば、売却不動産と同一の地域内で実際に売却が成立した不動産の情報を一覧で閲覧できます。物件の種類や面積、構造、最寄り駅からの距離に加えて、実際に売却が成立した際の成約価格情報がわかるため、より正確な相場を把握できるでしょう。
まずは売却不動産の住所を入力して、類似の物件の成約事例をいくつか見てみてください。
ポイント3.良い不動産会社を選ぶ方法
売却不動産の相場を把握したら、いよいよ実際の不動産会社選びに進みます。
不動産売買は一生に何度も経験することではないため、不動産会社はリピート客が少なく、会社の評価が見えにくくなっています。中には、なんとなく会社を選んでいる人もいるでしょう。しかし、不動産売却の成功は不動産会社選びにかかっているといっても過言ではありません。大切な不動産を適正な価格で売却するために、信頼できる不動産会社を選ぶ方法を案内します。
売却実績・サービス内容・口コミを要チェック
不動産会社を選ぶ際は、以下3つを重点的にチェックしましょう。
【売却実績】
- これから売却しようとしている物件と同様の物件の売却実績はどれほどあるのか
- 売買と賃貸、どちらの実績が多いのか(どちらの分野に強みがあるのか)
上記をふまえたうえで、売却活動の具体的な戦略を聞いてみてください。担当者に豊富な売却経験があれば、しっかりとした売却プランを答えてくれるはずです。
【売却サービスの内容】
不動産会社の仕事は、単に買い手を見つけるだけではありません。不動産会社の売却サービスには、買い手との交渉や売却方法の選定などが含まれます。「仲介と買取両方の査定ができる」「相続に伴う売却だから相続に関する相談もしたい」など、売主の状況に応じて必要なサービスは異なるため、サービス内容の範囲を確認することも重要です。
【口コミ・評価】
SUUMOなどの不動産サイトやGoogleマップのレビュー、SNSなどを検索し、不動産会社を利用した人の口コミや評価をチェックしてみましょう。単に「良かった」「悪かった」というものではなく、どのような点が売却活動のプラスになったのか、具体的な接客・サービス内容が書かれてあるものを参考にしてみてください。また、実際に売却経験のある身近な友人や知人に直接意見を聞いてみることも有効です。
まとめ
不動産を売りに出す際に大切なポイントは以下の3つです。
- 一括査定サイトの高額査定をうのみにしないこと
- 売主自らが相場を把握すること
- 信頼できる不動産会社を選ぶこと
繰り返しますが、「高額査定を出す不動産会社だから良い会社」とは言えません。相場をふまえて適正な売却価格を提案し、売り手目線の売却活動を行う会社こそ、信頼できる不動産会社と言えます。上記のポイントを意識したうえで、大切な不動産の売却を任せる会社を選びましょう。
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