親から相続した実家や何年も前に買った別荘が、空き家になっている場合、できるだけ高値で売却したいならば、早めに売却するべきです。なぜならば、昨今、空き家は増え続けており、売却をむやみに先送りにすればするほど、売却しづらくなってしまうからです。
この記事では、「それではどうしたら一番お得に、高く、早く空き家を売却できるか」をお伝えします。
▼この記事で分かること ◎空き家を売却する方法は「そのまま売却」「更地にして売却」「買取」の3つ ◎空き家はなるべく早く売却したほうがいい ◎損しないためには、スタート価格は高めに設定&ある程度の長期戦を想定しておくこと ◎空き家売却には、仲介手数料・解体費用・譲渡所得税や住民税・印紙税がかかる |
その他、空き家を売却する前に必ず確認しておきたい注意点についても解説します。
損せずにできるだけ高く早く空き家を売却したい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. 空き家はどうやって売却する?3つの方法を解説
ひとくちに「空き家売却」といっても方法はいくつかあります。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
①中古住宅または古家付き土地として売却 |
さらに詳しくそれぞれの方法を紹介していきます。
1-1. 中古住宅または古家付き土地として売却
一つ目は、空き家を壊したりせず、中古住宅または古家付き土地として売却する方法です。そのまま住める築20年以内の一戸建てなら「中古住宅」として、築20年を超えるような古家なら「古家付き土地」として売却します。
一番大きなメリットは、売却にかかる費用がかからず、すぐにでも売却活動をスタートできることです。外観がキレイであれば、購入後に内装を自分好みにリフォームして住みたいという購入者が見つかるかもしれません。
しかし、建物の老朽化が進んでいる場合や、高齢化が進んでいる地域などでは住宅の需要が少なく、購入者が現れない可能性も多くあります。売却できるまでに時間がかかる場合は、別の方法も検討することをおすすめします。
1-2. 解体して更地にして売却
2つめの方法として、空き家を解体して更地にした状態にし、土地として売却する方法があります。解体するための時間や費用がかかりますが、活用しづらい古家が無い方が、より高く早く売却できる可能性が高まります。
空き家の建物が老朽化しておりどう見ても取り壊しが必要な場合などは、売却前に解体して更地として販売した方が高く早く売却しやすいといえます。土地の状態の方が、次の購入者の土地の活用方法も広がります。
しかし、更地にするには解体や整地の費用がそれなりにかかりますし、税金が高額になるデメリットもあるため注意が必要です。実は固定資産税や都市計画税は、建物付き土地の場合は減税措置の対象となっています。更地にしてしまうとその減税措置からはずれ、固定資産税は6倍・都市計画税は3倍に跳ね上がります。
更地にしてもなかなか売却できなかった場合に、高額の税金を払うことになり後悔の元となるため、安易に解体するのはおすすめできません。
1-3. 不動産会社に買い取ってもらう
空き家を売却する3つ目の方法は、不動産会社に買い取ってもらう方法です。通常の仲介売却のように買い手を探してもらうのではなく、不動産会社に直接売却します。
買い手を見つける必要がないため売却が早いメリットがある一方で、売却金額が相場の5~8割程度に下がってしまうデメリットがあります。
仲介売却ではなかなか買い手が現れなかった空き家でも、買い取ってもらえるケースがあります。ただしあまりにも需要が少ない地域など、必ず買い取ってもらえるわけではないことは覚えておきましょう。
➡空き家買取についてもっと詳しく知りたい方は、「空き家買取とは?仲介との違いや向いている人・売却までの流れを解説」の記事も併せてお読みください。
2. どの売却方法が向いているかチャートで解説
「結局どの売却方法がいいの?」と迷ったら、以下のチャートを参考にしてみてください。
それぞれについてもう少し詳しく解説します。
2-1. 築20年以内なら中古住宅として売却
空き家の築年数が20年以内など比較的良い状態でまだ住める状態なら、「中古住宅」として売却するのがおすすめです。次に紹介する「古家付き土地」と比べると、建物にも付加価値がある物件なので、土地だけで売るよりも高く売れる可能性が高いといえます。
築20年というのは明確な決まりがあるわけではないのですが、まだ住める状態かどうかが目安となってくるでしょう。また、築20年を超えると住宅ローン控除を受けられなくなるため、買い手が見つかりにくくなります。
2-2. 築20年超なら古家付き土地として売却
築20年以上経っている場合や住まなくなって劣化が進んでしまっている空き家を売る場合は、古家付き土地として売却するのが良いでしょう。
「古家付き土地」とは、経済的な価値がほぼゼロである住宅が建っている土地をいいます。住宅ではなく土地として分類して販売されます。築年数に明確な基準はありませんが、おおむね築20年を超える住宅は古家とされることが多いようです。
古家付き土地を購入した買い手は、購入後に古家を解体して土地を活用するため、解体費用が掛かることを踏まえて更地の状態の物件より価格は下がる傾向にあります。
➡もっと詳しく知りたい方は、「古家付き土地売却とは?メリット&デメリットと良い条件で売るコツ」の記事をご覧ください。
2-3. 空き家の劣化が激しいのなら更地にするか買取
家の劣化が激しく倒壊の可能性があるなど危険な状態ならば、空き家を解体して更地にして売却、もしくは買取が向いています。
なぜならば、そのまま売却活動をしても買主に良い印象を与えられませんし、売却活動中に行政から倒壊の恐れありとして指導が入る可能性もあります。
なお、空き家を解体するには、木造の場合で1坪あたり3~6万円程度かかり、坪数によりますが100万円以上はかかることが一般的です。そのため、解体する前に不動産会社に買取を依頼する方法もおすすめです。取り壊しが必要な古家があっても買い取ってもらえるケースは多いので、まずは買取金額を確認してみましょう。
2-4. とにかく早く売りたいのなら買取
空き家をとにかく早く売りたいのなら、不動産会社に買取を依頼するのがおすすめです。
仲介売却だと買い手が現れるまで長い期間かかることがありますが、買取なら不動産会社と合意が得られればすぐに売却が可能だからです。
早く現金化して複数いる相続人に分配したい場合、固定資産税の支払いタイミングまでに売却したい場合、相続空き家の3000万円特別控除が受けられる3年以内に売りたい場合など、期限が決まっている場合におすすめです。
買取にすると売却金額は下がりますが、古家やリフォームが必要な空き家でも買い取ってもらえるケースが多いので、一度相談してみると良いでしょう。
3. 使わない空き家はなるべく早く売却するのがおすすめ
ここまで解説した通り空き家の売却方法はいくつかありますが、共通して言えるのは、「使わない空き家はなるべく早く売却するべき」ということです。
なぜならば、空き家は所有しているだけでも税金や維持費がかかり、無駄なお金が出ていくばかりだからです。済んでいなくても所有しているだけで毎年固定資産税が10万円程度かかります。また、長年放置して特定空き家に指定されてしまうと、通常の6倍の税金を支払わなければならないケースもありえます。
相続した実家の空き家を売却する場合は、3年以内がおすすめです。3年以内ならば、売却時に発生する税金を安く抑えられる「取得費加算の特例」や「相続空き家の3000万円特別控除」を使える可能性があるからです。
税制優遇についての詳しい情報は、この記事の後半「7-1. 空き家売却で発生する税金を抑える特例・控除」でも紹介しています。
4. 空き家を売却する流れを5ステップで解説
なるべく早くに空き家を売却した方がいいことが分かったところで、空き家を売却するまでにはどんなステップがあるのか、その流れと必要な期間の目安を見ていきましょう。
4-1. 【売却の流れ①】査定を依頼
空き家を売却するための第一歩は、不動産会社に査定を依頼することです。売りたい空き家がどのくらいの価格で売却できるかを知るために「査定額」を出してもらいます。
懇意にしている不動産会社一社に依頼する方法もありますが、できることなら複数の不動産会社に同時に依頼して査定額を比べてみるのがおすすめです。一回の申し込みで複数業者に一括で査定依頼できる仕組みもあるため、こうした仕組みを便利に利用しましょう。
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一括査定申し込みにかかる時間は5分ほどで、空き家の住所や物件情報(広さや築年数など)、申込者の情報を入力するだけで、簡単に査定依頼ができます。
査定申し込み後、簡易査定の結果が数日で届きますので、その中から実際に空き家を現地で見てもらう「訪問査定」を依頼する不動産会社を2~3社選びましょう。訪問査定は1~2時間程度で終わり、その後結果が1週間ほどで届きます。
4-2. 【売却の流れ②】仲介会社を決める/媒介契約
査定金額だけでなく担当者の知識や対応スピードなども検討したうえで、信頼できる不動産仲介会社と媒介契約を結びます。
媒介契約を結ぶことで、空き家を買い取ってくれる買主を不動産会社に探してもらうことができるようになります。なお、媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれに特徴があるため、どの媒介契約を選ぶか事前に決めておくと良いでしょう。
➡3種類の違いについては、「媒介契約とは?3種類の媒介契約の違いと選び方をわかりやすく解説」の記事をご参照ください。
3種類のうち「一般媒介契約」を選ぶ場合は、複数の不動産会社と媒介契約を結ぶこともできます。
4-3. 【売却の流れ③】売り出し価格を決める
媒介契約を結ぶ際には、売り出し価格(空き家をいくらで販売スタートするか)を決める必要があります。
売却活動が上手く行くかどうか決める重要なポイントとなりますので、不動産会社にアドバイスをもらいながら慎重に決めましょう。
価格の設定が低すぎると相場よりも安値で売却されてしまう可能性がありますし、高すぎるとなかなか売却が成立しないことが考えられます。売却までにどのくらいの時間を充てられるなども考慮したうえで、売り出し価格を決めましょう。
4-4. 【売却の流れ④】買い主との交渉
購入希望者が現れたら、実際いくらで売買を成立させるか、売買のタイミングなどを交渉していきます。
購入希望者はできれば安く物件を購入したいと思っているため、値引き交渉をされることもあるでしょう。柔軟に対応する姿勢も大切ですが、自分が損しないように交渉していきましょう。
4-5. 【売却の流れ⑤】契約・引き渡し
交渉が成立したら、不動産会社の指示に従いながら、契約を行っていきます。全ての書類が揃い、買い手からのお金が振り込まれたら、引き渡しが完了となります。
5. 空き家をなるべく高く早く売却するためのポイント
なるべく高く、そして早く、損せずに空き家を売却するためのポイントは4つあります。必ず事前に目を通して、後悔しないように売却活動を進めていきましょう。
5-1. スタート価格は高めに設定する
空き家を売却する流れのところでも解説しましたが、多くのケースで、希望販売価格からの値下げを打診されることがあります。買い手にとってみたら、少しでも安く買いたいと思うのが普通だからです。
売却活動にある程度の時間的な余裕があるならば、最初はスタート価格を少し高めに設定しておくことで、万が一値下げ交渉に遭っても柔軟に対応することができます。
一方、なかなか問い合わせが来ないという場合には、販売価格を下げる戦略も必要です。
5-2. 長期戦を覚悟して計画を立てる
空き家を売却する場合は、ある程度の長期戦を覚悟してスケジュールを立てることが必要です。
空き家は年々増えているため、築年数や立地によってはなかなか購入希望者が現れないケースも想定されます。そのため、「何が何でも1カ月以内に売却したい」のように短期戦で勝負しようとすると、早めに価格の値下げに踏み切らざるを得なくなり、結果的に損してしまいます。
特に、空き家の所在地が地方都市である場合や、空き家が古い場合には時間がかかることを想定しておいた方が良いでしょう。その中で、いつまでに売れなければ買取も検討するなどスケジュールを立てておきましょう。
また、その間にかかる維持費(固定資産税やメンテナンス費用など)も前もって用意しておくことが大切です。
5-3. 3年以内に売却すること
ある程度の長期戦は覚悟しつつ、できれば住まなくなって3年以内(または相続してから3年以内)に売却することを目指しましょう。
前述した通り、3年以内であれば税金面で優遇を受けられる特例・控除があるからです。
相続した場合 |
相続開始から3年以内なら |
住まなくなった場合 |
住まなくなってから3年目の年末までに売却すれば |
※それぞれの特例や控除を利用するためには、期間以外にもさまざまな要件があります。全ての要件に合致している場合のみ、特例や控除が対象となります。 |
例えば3,000万円特別控除が適用になれば、売却益(売却した金額から取得費などを引いた金額)が3,000万円を超えなければ税金を納める必要がなくなり、税金面でかなりお得になります。
6. 空き家売却にかかる費用・税金はいくらぐらい?
空き家を売却すると決めた時に一番気になるのは、売却するためにかかる費用がどのくらいかということではないでしょうか。
空き家の売却時にかかる費用には、売却するために払う費用と税金の2種類があります。
売却するために払う費用 |
①不動産会社への仲介手数料 |
売却に応じてかかる税金 |
①譲渡所得税・住民税(利益が出た場合) |
6-1. 売却するために払う費用
売却するために払う費用には、①不動産会社への仲介手数料、②解体費用(更地にする場合)の2つがあります。
①不動産会社への仲介手数料
不動産会社に仲介してもらって空き家の買主を見つけた場合、不動産会社に「仲介手数料」という名の報酬を支払う必要があります。
仲介手数料の上限は、以下の表のように法律で決まっています。不動産会社によっては値引きしてくれる場合もありますが、多くの場合は上限金額の通りの金額が請求されます。
売却価格(税別) |
仲介手数料の上限 |
200万円以下 |
売却価格×5%(税別) |
200万円を超400万円以下 |
売却価格×4%+2万円(税別) |
400万円超 |
売却価格×3%+6万円(税別) |
例えば、仲介で空き家を3,000万円で売却した場合は、売却金額×3%+6万円(税別)が適用されるので、3,000万円×3%+6万円=96万円(税別)、税込105.6万円を不動産会社に支払います。
売却価格にもよりますが、仲介手数料はかなり高額になることがあるので、事前に心づもりしておくと良いでしょう。
②解体費用(更地にする場合)
空き家が古いなどの理由で、空き家を取り壊してから売却する場合は、解体費用が必要となります。
空き家を解体(取り壊し)する場合、木造の場合で1坪あたり3.1万~6.5万円程度、RC造の場合で3.5~8.0万円程度かかります。例えば40坪だと124万円~320万円程度かかる計算となります。
解体費用は、業者ごとにも違いますし立地条件や老朽の度合いによっても変わります。まずは見積もりを取っておくと良いでしょう。
解体費用についてさらに詳しく知りたい方は、「住宅の解体費用はいくら?坪数別の相場一覧と安くする工夫点5つ」の記事もご覧ください。
6-2. 売却に応じてかかる税金
売却に応じてかかる税金には、①譲渡所得税・住民税、②登録免許税、③印紙税の3つがあります。
①譲渡所得税・住民税
譲渡所得税と住民税は、空き家を売却して利益が出た場合に納めなければならない税金です。税率は、以下の表の通り定められています。
区分(所有期間※) |
所得税 |
住民税 |
復興特別税 |
合計 |
短期譲渡所得(5年以下) |
30% |
9% |
0.63% |
39.63% |
長期譲渡所得(5年超) |
15% |
5% |
0.315% |
20.315% |
※所有期間は売却した年の1月1日時点での所有期間
※空き家を相続した場合は、親など被相続人(亡くなった人)の所有期間を引き継げる
譲渡所得税と住民税を計算するには、まず譲渡所得を以下の通り求めて、その金額に上記の表の税率を掛けます。
譲渡所得=売却金額-取得費-売却にかかった経費 |
◎売却金額:空き家を売却した金額(最終取引価格) |
例えば、空き家を4,000万円で売却したケースで、取得費が3,012万円、売却にかかった経費が128万円だった場合、譲渡所得=4,000万円-3,012万円-128万円=860万円となります。
この譲渡所得860万円に、先ほどの表の税率をかけた金額が、支払う税金となります。所有期間が5年以下ならば、860万円×39.63%=約340万円(所得税+住民税+復興特別税の合計税額)となります。
ただし実際には、このように売却益が出た場合でも、特例や控除を適用することで譲渡所得をゼロ以下にして税金をゼロにできるケースもあります。特例や控除については、「7. 税金控除や補助金を使えば費用を抑えられる」で解説します。
②印紙税
印紙税とは、空き家を売却した時の売買契約書にかかる税金です。契約書に収入印紙を貼る形で納税します。
契約金額(=空き家を最終的に売却する価格)に応じて、以下のように税額が定められており、令和4年3月31日までは軽減措置があり、税額が半額になっています。
契約金額 |
税額 |
軽減された税額※ |
10万円を超え50万円以下のもの |
400円 |
200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの |
1,000円 |
500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの |
2,000円 |
1,000円 |
500万円を超え1千万円以下のもの |
1万円 |
5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
※令和4年3月31日までに作成される契約書の場合に適用
7. 特例・控除や補助金を活用して空き家売却費用を抑えよう
前章で解説した空き家売却に関わる費用は、特例・控除や補助金を活用することで抑えられる場合があります。知らずに損してしまわないよう、必ず目を通してみましょう。自分に使えそうなものがあれば、頭に入れておくと良いでしょう。
7-1. 空き家売却で発生する税金を抑える特例・控除
6章でも解説した通り、空き家を売却して利益が出た場合には、その利益に応じた税金(譲渡所得税や住民税)が発生します。所有期間が5年以内だと、利益×39.63%もの税金がかかるため、かなり高額になります。
しかし、この税金を抑えられる特例・控除が用意されています。要件に合致して特例・控除を適用できれば大幅に税金を安く抑えることができるため、必ず内容や要件を確認してみましょう。
特例・控除の名前 |
内容と要件 |
居住用財産の3,000万円特別控除 |
譲渡所得から3,000万円まで控除できる 【要件の一部】 |
相続空き家の3,000万円特別控除 |
譲渡所得から3,000万円まで控除できる 【要件の一部】 |
相続した空き家の取得費加算の特例 |
譲渡所得の計算に使う「取得費」に、支払った相続税の一部を加算できる 【要件の一部】 |
10年超所有軽減税率の特例 |
譲渡所得税や住民税の税率が安くなる 【要件の一部】 |
この中でも特に、3,000万円特別控除が適用できるかどうかは重要です。なぜならば、この特別控除が使えると、譲渡所得(売却金額から取得金額や経費を除いたもの)が3,000万円以内ならば、納める税金がゼロになるからです。
こうした特例や控除は自分から申告しなければ適用できないため、知らないと多額の税金を支払う羽目になり損してしまいます。必ず要件を満たす特例・控除がないか確認してみましょう。
7-2. 空き家を解体する際に利用できる補助金・助成金
空き家を解体(取り壊し)して更地にして売却する場合、その取り壊し費用に補助金や助成金が出る場合があります。こうした制度があるかどうか、条件、金額は、空き家が建っている市区町村によります。
例として、いくつかの自治体の内容を簡単に紹介します。
周囲に危険を及ぼす恐れのある老朽化した空き家を解体する場合に、解体費用の一部を予算の範囲内で助成 |
特に危険な状態にあるもの(老朽空き家等)の解体を行う場合には、予算の範囲内において、その費用の一部を補助 |
自主的に解体する場合の解体費用の一部を、予算の範囲内で補助 |
「危険な状態であること」が認められないと補助金が出ない自治体もあれば、自主的に解体する場合なら補助金が出る自治体もあります。また、補助金制度自体がない自治体もあります。
ただし、補助金が受けられるケースに当てはまれば解体費用を助成してもらえるので、「市区町村名(都道府県名)+空き家解体」などのキーワードで検索し、制度があるかどうか調べてみましょう。
8. 空き家を売却する前に確認しておくべき注意点
最後に、空き家を売却する前に必ず確認しておきたい注意点をいくつか解説します。見落としがちだけれども、事前にクリアにしておかないと後々トラブルになってしまうこともあります。必ずチェックしておいてください。
8-1. 空き家の名義人が自分になっているか確認する
親が住んでいた家を相続した場合などは特に、空き家の名義人が自分になっているか、売却前に必ず再度確認しましょう。
空き家に限らず、不動産を売却できる権利があるのは名義人である本人だけです。つまり、親から相続した空き家の名義人が、亡くなった親のままでは、売却することができません。
その場合は、法務局で名義変更(相続登記)を行う必要があります。相続登記に必要な書類(登記事項証明書や相続登記申請書など)と登録免許税の金額を用意したうえで、法務局で申請をします。書類の準備や記入には手間がかかるため、司法書士などの専門家に依頼するのも良いでしょう。
➡名義変更を含めた相続した実家の売却方法については、「損しない実家売却の手順を分かりやすく解説!税金・相続対策も丸わかり」の記事も参考にしてみてください。
8-2. 空き家の状態を必ず確認しておく
空き家の状態を確認せずに売却すると、後々で問題になる可能性があります。
「空き家を売却して一安心…」と思っていたら、後になって買主から「シロアリが発生して柱が腐食していた」という重大な瑕疵により、契約を白紙に戻されたり損害賠償を請求されたりする場合があります。
民法では「契約不適合責任」という規定があり、これによると、「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがあるとき」には売主が責任を負い、買主が保護されることが決められています。
つまり、契約の時点で買主に知らせていなかった欠陥(シロアリ被害、雨漏り、配管設備不良など)が遭った場合、引き渡し後でも売主(売却した人)が責任を負わなければなりません。
空き家を売却する前には、一度建物の状態を確認したうえで、重大な欠陥については修繕しておく必要があります。
まとめ
この記事では、空き家を売却する3つの方法の選び方や、売却までの流れ、なるべく高く早く売却するためのポイント、売却にかかる費用や税金、そして費用をできるだけ抑える方法までを網羅的に解説しました。
空き家の売却方法には、そのまま売る方法・更地にして売る方法・買取の3つがありますが、本文でも解説した通り、まずはそのまま売ることができないか不動産会社に査定を依頼し、その後に別の選択肢も考えていくのが良いでしょう。
売却が難しそうな場合は、その他の処分方法も検討すべきです。詳しくは「空き家処分はこうすればOK!損せず早めに処分する方法を解説」をご覧ください。 |
空き家の売却は長期戦になることが多いため、住まなくなったら(または相続したら)できるだけ早めに売却に向けた準備を始める方が得策です。
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