「家を売るベストタイミングはいつ?」
と知りたいあなたへ、結論からお伝えすると以下の6つの観点から総合的にすれば、家を売るベストタイミングが導き出せます。
▼ 家を売るタイミングを判断する6つの指標
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近々、家の売却を検討中の方はもちろん、「ゆくゆくは住み替えたい」とお考えの方にとっても、あらかじめ家を売るベストタイミングを知っておくことは重要です。
というのは、タイミングの知識がないと、知識さえあれば避けられたはずの大きな損をする可能性が高いからです。
本記事では、損せずに家を売るために最も重要な要素のひとつである「家を売るタイミング」について、具体的に解説します。
本記事のポイント |
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「できるだけ有利な条件で家を売りたい」
「あらかじめタイミングを押さえて行動したい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、タイミングを見計らううえで見るべき指標が理解できるだけでなく、具体的に良いタイミングといえる時期はいつなのかまで、踏み込んだ情報を入手できます。
あらかじめ本記事の情報を入手しておけば、心から満足できるタイミングで家を売ることができるはずです。ではさっそく「家を売るタイミング」を解説します。
目次
1. 「相場」で見る家を売るタイミング
まずは「相場」の観点から家を売るタイミングを見てみましょう。
1-1. 不動産価格の最新動向
不動産価格の相場を確認するうえで参考になるのが「不動産価格指数」です。不動産価格指数は、国土交通省が不動産の取引価格情報をもとに発表しているもので、不動産価格の動向を把握するために役立ちます。
以下のグラフは2020年8月分の不動産価格指数です。
出典:国土交通省
2010年の平均を100とすると、「住宅総合(赤線)」では緩やかな上昇傾向が続いていることがわかります。なかでも「マンション(緑線)」は、2013年春以降現在に至るまで、右肩上がりの状態が続いています。
一方、「戸建住宅(青線)」は2010年以降、100前後を推移していてほぼ横ばいです。
1-2. 右肩下がりが続くなら早く売ったほうが良い
不動産の相場をもとに家の売り時を考える場合、セオリーとしては以下のとおりとなります。
- 相場が、右肩下がりが続くなら早く売ったほうが得
- 相場が、右肩上がりが続くなら遅く売ったほうが得
- 相場が、横ばいならいつ売っても同じ
右肩下がりが続いて価格が下落し続けている状態であれば、さらに価格が下がる前に、できるだけ早く売らないと損してしまいます。
逆に、右肩上がりが続いて価格が上昇し続けている状況であれば、すぐに売らずに、さらに値上がりするまで待ってから売ったほうが、売却価格が高くなってお得になります。
例えば、2020年8月分の不動産価格指数では、マンションの価格が右肩上がりとなっています。セオリーに基づいて考えれば、さらに価格が上昇するまで待ってから売ったほうがお得といえます。
ただし、注意点がひとつあります。「右肩下がり(または右肩上がり)が、今後も続くかどうかは保証がない」ということです。
今後も下落(または上昇)が続くと予測するかどうかは、それぞれの判断になります。
1-3. 売りたい家の相場の調べ方
先ほどご紹介した「不動産価格指数」は、全国の不動産を対象としたものです。大まかな傾向をつかむには最適ですが、地域ごとの相場は不動産価格指数だけではわかりません。
家の売却を検討中であれば、売りたい家の相場をこまめにチェックすることが大切です。自分で現在の相場を調べる方法については、以下の記事で解説しています。
・土地売却の相場の調べ方!いくらで売れるか自分で調べる方法と注意点
・不動産売却では相場を知ることが重要?令和2年の相場を解説
近年の相場の動向を含めて知りたい場合には、自分で調べるのは難しいので、不動産業者に聞くのが早いでしょう。もちろん弊社でも情報提供させていただきます。お問い合わせメールフォームからお気軽にお問い合わせください。
2. 「築年数」で見る家を売るタイミング
「築年数」の観点から家を売るタイミングを見てみましょう。
2-1. 築年数による資産価値の変化
住宅の市場価値は、築年数が増えるほど減少します。以下は国土交通省が作成した資料に掲載されているグラフです。
出典:国土交通省
住宅を取得したときの資産価値(縦軸)を100%とした場合、築年数(横軸)が経過するごとに、資産価値が下落していくことがわかります。
戸建住宅(オレンジ線)では、築15年まで急速に下落していき、その後は資産価値10%〜20%で横ばいとなります。
一方、マンション(青線)では、築年数に比例して資産価値が下落していることがわかります。
2-2. マンションと築15年までの戸建は早く売却したほうが得
築年数をもとに売り時を検討するのであれば「マンションと築15年までの戸建は早く売却したほうが得」といえます。
特に、築15年までの戸建は下落率が急勾配となっています。つまり、築15年までの戸建住宅は、1年〜2年の売却の遅れで売却価格が大きく下がってしまうのです。
例えば、築5年で資産価値70%、2年後の築7年で資産価値60%に下落した場合で考えてみましょう。2019年度の注文住宅の建設費の全国平均・約3,452万円(出典:住宅金融支援機構)で試算してみます。
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このように、計算上は2年売却が遅れれば、345万円の損をすることになります。築15年までの戸建をできるだけ高値で売却するためには、とにかく早く売ることが重要です。
逆に、築15年を過ぎると、戸建住宅の資産価値の下落率は緩やかになり、築20年以降はほぼ横ばいです。築年数という観点だけから見るのであれば、築20年以降の戸建住宅は、急いで売る必要はないといえます。
3. 「税金」で見る家を売るタイミング
「税金」の観点から家を売るタイミングを見てみましょう。
3-1. 所得税と住民税の税率
家を売ると「譲渡所得」に応じて所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得とは、家を売却して得たお金から、家を取得するためにかかったお金と諸費用を引いた金額です。簡単にいえば「譲渡所得=家を売って得た利益」となります。
譲渡所得に掛ける税率は、家の所有期間が5年を超えるか・5年以下かによって異なりますので注意が必要です。
▼ 税率
区分 |
所得税 |
住民税 |
長期譲渡所得 |
15% |
5% |
短期譲渡所得 |
30% |
9% |
出典:国税庁
家を売った年の1月1日現在でその家の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
つまり所有して5年以下の家を売ると、5年を超えて売る場合に比較して、所得税・住民税がおよそ倍になる計算です。
ただし、注意点があります。単純に考えれば「所有期間が5年を超えてから売ったほうが得」となりますが、マイホームを売るうえでは、ほかに利用できる特例があります。
例えば、この後に解説する「3,000万円の特別控除」を利用して、譲渡所得がゼロになった場合には、そもそも所得税も住民税も課税されません。よって、長期譲渡所得/短期譲渡所得を気にして売り時を考える必要はなくなります。
3-2. 3,000万円の特別控除
3,000万円の特別控除とは、マイホーム(居住用財産)を売ったときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から3,000万円まで控除ができる特例です(出典:国税庁)。
3,000万円の特別控除を利用すると、譲渡所得から3,000万円をマイナスできるので、その分、支払う所得税と住民税の金額が減らせます。もとの譲渡所得が3,000万円以下であれば譲渡所得はゼロとなり、課税されません。
3,000万円の特別控除を利用するためには、居住中の家を売るのであれば期限はありません。空き家を売るのであれば、空き家になって3年が経過する年の12月31日までのタイミングで売る必要があります。
「空き家になって3年が経過する年の12月31日まで」のタイミングを逃すと特別控除が適用できなくなりますので、注意が必要です。3年経過が間近な空き家売却をお考えの方は、急ぎましょう。
3-3. マイホームの軽減税率の特例
「売った年の1月1日現在で、そのマイホームの所有期間が10年を超えている場合」は、先ほど解説した3,000万円の特別控除を適用したあとの譲渡所得に対して、以下のとおり軽減された税率で計算されます。
▼ マイホームの軽減税率の特例
課税長期譲渡所得金額 |
所得税 |
住民税 |
6,000万円までの部分 |
10% |
4% |
6,000万円を超える部分 |
15% |
5% |
出典:国税庁
本来であれば、すべて所得税15%・住民税5%となるところ、6,000万円までの部分は所得税10%・住民税4%に軽減されます。
「マイホームの所有期間がちょうど10年を超えるか・超えないか」というタイミングなら、10年を超えてから売却したほうがお得です。
3-4. 相続税が取得費に加算される特例
相続した家を売る場合には、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると「相続税が取得費に加算される特例」を利用できます。
相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。よって、被相続人が亡くなってから3年10ヶ月までのタイミングで相続する家を売却すれば良いことになります。
相続税が取得費に加算される特例は、相続により取得した不動産を期間内に売却した場合に、取得費に加算できるという措置です(出典:国税庁)。
所得税・住民税の課税対象となる譲渡所得の金額を減らすことができるので、節税につながります。
4. 「住宅ローン金利」で見る家を売るタイミング
「ローン金利」の観点から家を売るタイミングを見てみましょう。
4-1. 住宅ローンが低金利のときが売り時
「購入希望者が多いタイミングで、有利な条件でスピーディに売却する」という観点でみれば、住宅ローンが低金利のときが売り時といえます。
購入希望者側から見れば、金利が低ければ低いほど利息が少なくなり、住宅ローンの総返済額を抑えることができるからです。端的にいえば、住宅ローンを組む買主にとっては「低金利なほどお得」になり、家が売りやすくなります。
では、現在の住宅ローンの状況はどうなっているかといえば、「超低金利時代」といわれるほど金利が低い状態が続いています。
▼ 住宅ローン金利の推移 (2020 年10月期まで)
出典:住宅金融支援機構
ただし注意点として、住宅ローン金利以外の観点も踏まえながら判断するなら、住宅ローン金利が低いときが最適な売却タイミングとはいえません。なぜなら、一般に景気が悪化すれば金利低下を招き、住宅ローンの金利も下がるからです。
つまり、「住宅ローンが低金利=景気が悪い」と言い換えることができます。景気が悪ければ、不動産価格の相場は下がりますし、人々の購買意欲も下がります。
住宅ローン金利は、売り時を判断するひとつの指標にはなりますが、住宅ローン金利だけを見て判断するのはやめましょう。
5. 「季節」で見る家を売るタイミング
「季節」の観点から家を売るタイミングを見てみましょう。
5-1. 成約件数が増えるのは3月
家の売却の成約件数が増える時期は3月です。これは、4月からの転勤や進学に合わせて引っ越しする人が多いためと考えられます。
出典:公益財団法人不動産流通推進センター「2019不動産業統計集」「2020不動産業統計集」より作成
家の購入希望者が増える3月のタイミングを逃さないためには、遅くとも前年の12月末までには売却することを決めて不動産業者を探し、年明け早々の1月から売却をスタート、2月〜3月での成約を目指すと良いでしょう。
6. 「ライフスタイル」で見る家を売るタイミング
「ライフスタイル」の観点から家を売るタイミングを見てみましょう。
6-1. 家を売る理由ランキングTOP10
ライフスタイルで家を売るベストタイミングを考えるうえで参考になるのが、ほかの人はどんな理由で家を売っているのかわかる、家を売る理由ランキングです。TOP10は、以下のとおりとなっています。
順位 |
家を売る理由 |
割合 |
1位 |
相続した物件を売却 |
23.3% |
2位 |
より良い住まいに住み替えるため |
14.0% |
3位 |
ローンの返済が困難なため |
11.6% |
4位 |
資金が必要となったため |
9.3% |
4位 |
勤め先の転勤のため |
9.3% |
4位 |
離婚したため |
9.3% |
7位 |
家族(親や子どもなど)と同居するため |
7.0% |
8位 |
家族やご自身の介護のため |
4.7% |
8位 |
不要物件の処分 |
4.7% |
10位 |
ご自身や子どもの通勤・通学のため |
2.3% |
10位 |
結婚したため |
2.3% |
※2020年 ホームセレクト調べ
このようなタイミングがあれば、家を売るタイミングといえます。家を売る理由について詳しくは「家を売る理由ランキングTOP10と買主への売却理由の上手な伝え方」をご覧ください。
7. 家を売ってはいけない不利なタイミング
ここまで家を売るベストタイミングについて解説してきました。逆に「家を売ってはいけない不利なタイミング」とはいつでしょうか。2つのポイントを解説します。
7-1. 相場価格が上昇中または今後の上昇が予測されるとき
1つめは「相場価格が上昇中または今後の上昇が予測されるとき」です。
「1. 「相場」で見る家を売るタイミング」でも触れたとおり、価格が上昇しているときに慌てて家を売ってしまうと、価格が上昇し切ってから売っていれば得られた分のお金を損してしまいます。
相場価格が上昇中のとき、あるいは今後の上昇が予測されるときには、よく相場を見極めてより高く売れるタイミングで売る必要があります。
例えば、売りたい家の周辺に再開発などの計画がある場合には、今後の価格上昇が予測されます。不動産業者をはじめとする不動産相場に詳しいプロのアドバイスを得ながら、最適なタイミングを見計らってください。
7-2. 税制優遇がギリギリ適用されない時期
2つめは「税制優遇がギリギリ適用されない時期」です。
すべての売却タイミングを税金中心にそろえるのは難しいかもしれません。しかし、例えば、「あと1ヶ月後に売れば特例が適用できる」というようにギリギリのタイミングであれば、調整は容易です。
容易に調整できるのに、知識不足でタイミングを逃しては、後で知ったときの後悔も大きくなります。
「3. 「税金」で見る家を売るタイミング」でご紹介した以外にも、売却したい物件の状況によっては、税制の優遇措置が受けられる可能性もあります。事前の情報収集を念入りにしましょう。
以下の記事も、参考にご覧ください。
・土地売却で使える11種類の税金控除と特例を解説【一覧表付き】
・損しない実家売却の手順を分かりやすく解説!税金・相続対策も丸わかり
・【相続税軽減】取得費加算の特例を分かりやすく解説
・土地売却の税金を軽減する特別控除とは?2つの3000万円控除をメインに解説
・【所得税軽減】マイホーム売却の3,000万円控除について徹底解説
8. 家を売るタイミングを見極めるうえでの注意点
税制の優遇措置や、相場、資産価値の変化、時期柄など、さまざまな要素を総合的に検討する必要のある売り時判断は、ひとりで行わず多角的な視点と経験を持ったプロの力を借りることをおすすめします。
自分では気付いていない落とし穴があるケースもあるため、広い視野から問題点を指摘してくれるサポーターが必要です。
弊社でも、広く情報提供させていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。
こちらのお問い合わせメールフォームからご連絡いただければ、さまざまなタイミングで家の売却を行ってきた経験豊かなスタッフが、最適なタイミングをアドバイスさせていただきます。
9. まとめ
本記事では、以下の6つの観点から家を売るタイミングを解説しました。
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家を売ってはいけない不利なタイミングとしては、以下の2つを押さえておきましょう
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あらかじめタイミングに関する知識を身に付けておけば、最高のタイミングで家を売ることができます。本記事の情報をもとに、あなたの家を売るベストタイミングを割り出してみてください。