土地査定とは、売却したい土地がいくらで売れそうか価格を見積もることをいいます。一般的には不動産会社に依頼して行うもので、インターネットだけでやり取りする「簡易査定(机上査定)」と実際に現地を見て詳細な査定額を出してもらう「訪問査定(詳細査定)」があります。
この記事では、売却時に損しないための土地査定についての情報を詳しく解説します。
▼この記事を読むと分かること ◎土地査定を依頼する流れを詳しく解説 ◎土地の訪問査定(現地調査)で見られる3つのポイント ◎土地の訪問査定前に準備するべき3つのこと |
後半では、適正金額で売却するための注意点や、土地査定についてのよくある質問も説明します。
「土地の適正な金額を知りたい」「損をせず土地を売却したい」という方はぜひ最後までお読みください。
目次
1. 土地査定を依頼する流れを6ステップで解説
土地の価格を査定したいと思ったとき、自分で周辺の路線価などを調べて査定する方法もありますが、確実なのは不動産のプロである不動産会社に依頼して査定してもらう方法です。
それではどのように査定依頼すれば良いのか、その流れを6ステップに分けて解説していきます。
6つのステップ |
かかる日数など |
❶査定依頼(一括査定)を申し込む |
申込フォームの記入は数分で完了します |
❷訪問日時を決める |
簡易査定の結果は数日程度で届きます |
❸訪問査定前の準備をする |
|
❹訪問査定(現地調査)してもらう |
訪問査定の所要時間は数十分~1時間程度です |
❺査定結果の報告を受ける |
訪問査定の結果が来るまで一週間程度を見込みましょう |
❻媒介契約締結に進む |
※自分で土地の価格を査定したい方は、「土地の査定方法は?査定額が決まるポイントと自分で調べる方法も解説」の記事の2章で、公示地価や路線価、周辺の取引価格を参考に査定する方法を詳しく解説しています。
1-1. 査定を依頼する(一括査定を申し込む)
土地査定をしたいと思ったらまずは不動産会社に査定依頼の申し込みをします。土地の査定は無料です。一社ずつ査定依頼することもできますが、一括査定なら一回の入力で複数の不動産会社に同時に依頼でき便利です。
査定したい土地の所在地や土地面積、お客様の情報を記入するだけで数分で査定依頼は完了します。
査定依頼後、複数の不動産会社から簡易査定の結果が届きます。査定結果や業者の対応などを見て、現地査定をお願いする業者をいくつか選定して進めていきましょう。
1-2. 訪問日時を決める
現地査定をお願いする不動産会社と訪問日時を調整します。
簡易査定では、相場をもとにした簡易的な土地の値段しか分かりません。土地固有の特徴(土地の形状や立地、間口の広さなど)によっては相場よりも高くなったり低くなったりするため、現地調査をすることで正しい査定金額を算出できます。
1-3. 訪問査定前の準備をする
できるだけ正確な査定金額を出したいならば、訪問査定(現地調査)してもらう前の準備が重要となります。
例えば自分でも土地の価格相場を調べておいたり、価格を左右するポイントを把握しておいたりすることで、「なぜこの土地が相場よりも高く評価されるのか」「どの要素が土地の価格を下げるのか」を自分でも理解しやすくなり、土地の価格に納得感を得やすいのです。
詳しい準備のポイントは、「5. 土地の査定前に準備すると良い3つのこと」で解説します。
1-4. 訪問査定(現地調査)してもらう
いよいよ現地に担当者を呼び、実際に土地の現況を見て詳細査定をしてもらいます。現地調査の時間は数十分〜1時間程度が目安です。
土地を見てもらうだけでなく、担当者から土地に関するさまざまな質問を受けるはずです。査定金額を正しく見積もるための質問なので、正直に正確な情報を伝えるようにしましょう。
現地調査時に見られるポイントは、「4. 土地の訪問査定(現地調査)で見られる3つのポイント」でさらに詳しく説明します。
1-5. 査定結果の報告を受ける
現地調査後、不動産会社はその土地の用途地域や建築の規制などを調べて査定書を作成します。そのため少し時間がかかり、だいたい1週間程度を見ておくと良いでしょう。
土地の査定金額と、なぜその金額になったかの根拠なども必ず聞くようにしましょう。
複数の不動産会社から報告を受けて、信頼のおける会社だけに絞り込み、次のステップの媒介契約締結(不動産売却のための契約)に進むことをおすすめします。
1-6. 媒介契約締結に進む
査定金額だけでなく不動産会社の担当者の対応も含めて、信頼できる会社が決まったら、次はいよいよ売却活動に進むために媒介契約締結を締結します。
複数の不動産会社に売却を依頼できる一般媒介契約や、1社にのみ絞って売却依頼する専任媒介契約など、複数の契約方法があります。
媒介契約については、当サイトの「不動産の依頼方法」のページで詳しく説明していますのでご覧ください。
2. 土地の査定は一括査定がおすすめ
土地の査定をする場合、一社だけに絞って不動産会社に直接査定を依頼することもできますが、おすすめは一回の申し込みで複数業者に同時に依頼できる一括査定です。利用は無料です。
一括査定のメリット
|
一社にだけ査定してもらった場合その査定金額を信用して良いか判断することはできませんが、複数の不動産会社に依頼すれば、土地の価格の正しい相場を知ることができます。また、査定金額に差がある場合は理由を聞くことで、納得感を高めることもできます。例えばA社は1,500万円と査定した土地を、B社は1,000万円と査定するかもしれません。それぞれの会社に査定価格の根拠を聞くことで、その土地の固有のウリや弱点を知れるのです。
\土地を査定するなら、ホームセレクトの一括査定をご利用ください/
3. 土地の簡易査定は取引事例を参考に行われる
ここからは、土地の査定金額がどうやって決まるかについて解説していきます。
土地の査定方法には、取引事例比較法・収益還元法・原価法の3つがあり、机上査定(簡易査定)でもっとも多く使われるのが「取引事例比較法」です。
取引事例比較法とは、似た条件土地をピックアップし、過去の取引事例を参考に査定額を算出する方法です。
例えば、土地Aを査定する場合、
➡土地Aの価格はだいたい1,900万円ぐらいと査定される |
ただし、全く同じ条件の土地は存在しないので、似た土地の平均坪単価を割り出したあと、面積・地形・取引時期の違いなど価格に影響を与える条件を勘案し、補正した金額を査定金額とします。
このように、現地を見なくてもある程度の土地査定額を出すことができます。ただし、訪問査定(現地調査)をすることでより正確に土地固有の価値を判断できるため、正確に査定額を知りたい場合には必ず訪問査定も行いましょう。
4. 土地の訪問査定(現地調査)で見られる3つのポイント
土地の訪問査定(現地調査)では、似たような条件の土地の取引価格をベースにしながら、実際に土地を訪問して査定した評価項目の評点で査定金額を補正します。
最終的な査定価格は、以下の計算式で表されます。
査定価格 = 事例地の単価 × 査定地の評点/事例地の評点 × 査定地の面積 |
例えば、査定したい土地に似た取引事例の坪単価が50万円で、査定地の評点が110、事例地の評点が105、査定する土地の面積が40坪の場合、査定価格は、50万円/坪 × 110 ÷ 105 × 40坪 = 約2,095万円となります。
土地の訪問査定(現地調査)で見られるポイントは大きく分けて3つあり、それぞれが評点として土地の価格に反映されます。
見られるポイント |
具体的な項目 |
❶土地が位置する環境など |
・交通の便(駅から徒歩何分か、バスで何分かなど) |
❷設備や街路状況など |
・前面道路の状況(接道の方位、幅員、舗装状態など) |
❸土地の形状その他 |
・宅地の形状がどうか |
例えば、最寄駅から徒歩1分なら+15点、徒歩10分なら0点、徒歩15分なら-6点など、条件項目ごとに加点・減点を加えていきます。最後に評点を合計して、最終的な土地の査定価格が決まります。
土地の訪問査定(現地調査)で見られるポイントを事前に把握しておくことで、査定したい土地が相場よりも高めなのか低めなのか心づもりしておくことができるでしょう。
土地の価格に影響を与えるポイントをより詳しく知りたい方は、別記事「土地の査定方法は?査定額が決まるポイントと自分で調べる方法も解説」もぜひお読みください。自分で土地を査定する方法についても解説しています。
5. 土地の訪問査定前に準備すると良い3つのこと
土地の訪問査定を受ける前に準備しておくと良い3つのことを説明します。これらを用意しておくことで土地の査定金額が上がる可能性がありますので、しっかり準備しておくと良いでしょう。
5-1. 測量図などの書類を用意しておく
土地を売却する時には正確な土地の面積が必要となります。土地の面積によって売却価格が変わるからです。そのため、正確に土地の査定価格を見積もりたい場合も、測量図があると安心です。できれば隣地との境界がはっきり分かる「確定測量図」があればベストです。
測量図が手元に無い場合は、法務局で入手することができます。
5-2. 土地固有の情報をまとめておく
訪問査定前に査定価格に影響を与えるポイントを自分でも整理しておくと、間違った情報が不動産会社に伝わる心配がなく、より正確な査定結果を得られるでしょう。また、場合によっては査定金額を上げることができるかもしれません。
例えば、以下のような項目を事前にチェックし、できる範囲で対策しておくと良いでしょう。
事前に確認しておく項目 |
補足・対策など |
❶隣接している道路の幅 |
・2m未満だと建物を建てられないため査定金額が低くなる |
❷騒音や振動の有無 |
➡できるだけ静かな時間帯に査定してもらう |
❸日照・採光 |
➡できるだけ日当たりの良い時間帯に査定してもらう |
5-3. 土地の相場を自分でも調べておく
訪問査定前にしておきたいことの3つ目は、「自分でもあらかじめ相場を調べておく」ことです。
自分で土地の相場を調べる方法は以下の4つの方法があります。
❶過去に取引された土地の価格を調べる ❷土地の固定資産税評価額を調べる ❸公示地価&基準地価を調べる ❹相続税路線価を調べる |
❶過去に取引された土地の価格を調べる方法
近隣のエリアで実際にいくらで土地が売買されたかを調べることで、調べたい土地の価格目安を知ることができます。
①国土交通省「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」にアクセスします。 |
❷土地の固定資産税評価額を調べる方法
土地の所有者は、その土地の評価額に応じた税金を毎年納めているはずです。その固定資産税評価額をもとに、土地の価格を算出する方法です。
①毎年届く「固定資産税の納税通知書」を手元に用意します。 |
❸公示地価&基準地価を調べる
公示地価・基準地価はどちらも、公的機関が毎年公表している「土地の正常な価格」のことです。全国で約2万カ所の地点が選ばれ、その地点の正常な価格が公示されます。公示地価・基準地価に選ばれた地点が近い場合は、これらの地価を参考にすることで、調べたい土地の相場を知ることができます。
①国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」にアクセスします。 |
❹相続税路線価を調べる
相続税路線価(路線価)とは、土地を相続した場合にいくら税金を納めるかを算定するために定められている「道路ごとの価格」です。この路線価を利用して、土地のおおよその価格を計算できます。
①国税庁「路線価図・評価倍率表」にアクセスする |
自分で土地の実際の価格(実勢価格)を調べる方法について、もっと詳しい内容を知りたい方は、「土地の実勢価格の調べ方と計算方法をどこよりも分かりやすく解説!」の記事をご参照ください。
6. 損せずに土地査定後に売却する上で注意したいこと
ここまで読んでいただいた方は土地査定についてかなり理解が進んだのではないでしょうか。6章では、土地を査定するうえで気を付けてほしいポイントをまとめました。売却時に損したくない方は必ず目を通すことをおすすめします。
6-1. 一社ではなく複数の会社に依頼すること
前述した通り、土地査定依頼は同時に複数企業に依頼できる一括査定がおすすめです。
万が一、1社だけに査定して査定金額が本来よりも低めに出た場合、売却開始価格も低めに設定してしまい、結果的に損をしてしまう可能性があります。そのようなことを避けるため、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
もちろん査定金額が高ければ良いという訳ではありませんが、複数の会社の査定金額に差があった場合に、その間を取って売却開始価格を決めるという選択ができます。
6-2. 簡易査定だけでなく必ず訪問査定してもらうこと
3章で解説した通り、現地調査をせず簡易査定(机上査定)だけでも、土地のだいたいの査定金額を出してもらうことはできます。しかし、現地を見ないままだとその土地固有の加点ポイントや減点ポイントを査定金額に反映できないため、正確な査定金額とはいえません。
「だいたいの相場を知りたいだけ」ならば簡易査定だけでも良いですが、土地を適正な価格で売却したいなら、必ず訪問査定してもらいましょう。
AI査定やネット査定も同様です。こうしたサービスを便利に利用するのは良いですが、その後に実際に担当者に土地を見てもらうことが重要です。
6-3. 査定結果を鵜呑みにしないこと
不動産会社の査定結果だけを鵜呑みにするのではなく、必ず自分でも土地の相場を調べて、納得できる査定結果か判断しましょう。
不動産会社が無料で土地査定をしてくれる理由は、そのあと媒介契約を結んで土地を売却した時に、その仲介手数料が収入になるからです。そのため、早く売却するために相場よりもわざと低い査定金額を出したり、媒介契約を結ぶためにわざと査定金額を高くしたりすることが無いとは言い切れません。
こうした不動産会社と契約してしまうと、相場より低い価格で土地を売却する羽目になることや、高すぎて売却活動が思うように進まないことがあり、結果的に損してしまう結果になるしれませんよね。
損しないためにも、自分でも土地の価格相場を調べておくことと、1社だけでなく複数の不動産会社に査定依頼すること、査定金額の根拠を教えてもらうことが重要です。
6-4. 査定価格だけで仲介会社を決めないこと
「土地の査定価格が一番高かったから」という理由だけで仲介会社を選ぶのはおすすめできません。
「6-3. 査定結果を鵜呑みにしないこと」の内容とも少し重なりますが、媒介契約欲しさにわざと査定金額を高くする不動産会社もいるかも知れないのです。
査定価格の高さや低さだけを見るのではなく、査定価格の信頼性(根拠)を丁寧に説明してくれたのかや、担当者の対応の良さやスピード感、過去の売却実績などを見て、総合的に判断しましょう。
7. 土地査定に関するよくある質問
最後に、土地査定に関してよくある質問に回答していきます。
7-1. 土地の査定にお金はかかりますか?
【答え】土地の査定は、簡易査定(机上査定)も訪問査定(現地調査)も無料で、お金は一切かかりません。また、査定だけ依頼して媒介契約を結ぶかどうかも自由です。 |
ただし、媒介契約を結んで実際に土地の売買が成立した場合には、成約させた不動産会社に所定の仲介手数料を支払う必要があります。
➡無料の土地査定(簡易査定・訪問査定)は、ホームセレクトの「複数いっかつ査定」をご利用ください。
7-2. 土地の査定より鑑定の方が良いのですか?
【答え】不動産鑑定は10万円以上の費用がかかるため、単に不動産売却のために価格を知りたい場合は査定で十分といえるでしょう。 |
不動産鑑定とは、不動産鑑定士の資格を持つ者が、国の統一基準に基づいて土地の適正価格を算出するものです。資格者が専門的な調査・分析を行って価格を算出するため、10万円以上の費用がかかる上、時間もかかります。
そのため、ホテルやゴルフ場、太陽光発電所の用地など特殊な不動産を売買する時や、相続税を軽減するための証拠書類にする時、裁判で利用する時など、特別な事情がある時に利用されることが一般的です。
単に不動産売却のために土地の価格を知りたいだけなら、土地査定で十分かと思われます。
7-3. 土地の査定額が会社ごとに異なるのはなぜ?
【答え】査定方法や方針が不動産会社によって違うからです。また、査定の参考にする取引事例の違いから査定額が異なる場合もあります。 |
不動産査定には明確なルールが存在しておらず、「直近で売れると予想される金額=査定額」としている会社もあれば、「相場より少し高めのチャレンジ金額=査定額」としている会社もあります。
査定額を高めに設定している会社は、高めの販売価格からスタートして、売れなければ値下げしていく戦略を取っている場合があります。ただしこのケースでは成約率が低くなるため、あまりおすすめの不動産会社とは言えません。
また、土地を査定する場合には取引事例比較法という手法を使うのですが、その取引事例で参考にする物件の違いから査定額が異なる結果になることも多くあります。例えば参考にした取引事例が古い取引価格だった場合で、土地の需要がここ数年で大きく変わったエリアだったとしたら、正しい査定額が反映されていないことが考えられます。
このように、土地の査定額が不動産会社ごとに異なるケースはよくあることなので、複数社の査定結果を比較してその根拠を確かめることが大切です。
7-4. 土地査定シミュレーションってどうですか?
【答え】現地調査を行わないため正確性は低いですが、簡単に土地の価格目安を知りたい場合には使えます。 |
土地査定シミュレーションとは、AI(人工知能)を使った査定アプリや査定サイトのことで、知りたい土地の情報を入れるだけで瞬時に価格目安を自動査定してくれます。
その場で結果を表示してくれるため、価格目安をすぐに知りたい方や不動産会社に個人情報を伝えたくない方には便利な仕組みです。
ただし、現地調査でしか分からないような価格を左右するポイントを一切考慮できないため、あくまで価格目安しか分かりません。土地売却に向けて正確な査定金額を知りたい場合はやはり、現地調査を含む詳細査定を依頼すると良いでしょう。
土地査定シミュレーションについてもっと知りたい方は、「土地査定シュミレーションとは?精度や従来の査定との違いを解説」の記事をご参照ください。
まとめ
この記事では、土地の査定について、依頼する流れや査定時に見られるポイント、土地査定前に準備すべきポイントなどについて解説してきました。
土地の査定をするのは不動産会社ですがその結果を鵜呑みにするのではなく、自分でも能動的に土地の相場を調べたり、価格を左右するような項目を事前に確認しておいたりという準備が重要です。
査定金額が高い方が嬉しい気持ちは分かりますが、一番査定金額の高い業者に売却を依頼するのではなく、「本当にその査定金額は妥当なものなのか」しっかり判断する冷静な視点が大切です。
土地の売却を成功させるためにも、土地査定は必ず複数の不動産会社に依頼し、土地の金額が相場と比べてどうなのかしっかり理解して進めていくようにしましょう。