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土地の査定方法は?査定額が決まるポイントと自分で調べる方法も解説

土地の査定方法には、公的評価額などを使って自分で査定する方法と、不動産会社に土地の査定を依頼する方法の2つがあります。

公的評価額や取引価格を参考にすれば自分で土地の価格をある程度査定することもできますが、より正確に査定金額を知りたいならば、やはり不動産会社に現地を見てもらって、詳細に査定してもらうのがおすすめです。

この記事では、自分で査定する2つの方法と不動産会社に査定依頼する方法を詳しく解説します。

また、不動産会社に詳細査定してもらう場合には、以下のような、査定額を左右する10つのポイントがあります。

◎査定額を左右する10のポイント

  • 用途地域
  • 駅からの距離
  • 土地の面積
  • 土地の形状
  • 前面道路の幅
  • 間口と奥行きの長さ
  • 道路との関係(角地・二方路地など)
  • 道路に対しての高低差
  • 土壌汚染・埋蔵文化財の存在
  • 近隣の嫌悪施設の存在

同じような立地にある土地でも、これらの10のポイントによって査定価格は大幅に上限します。

このポイントについても詳しく解説しますので、記事を読み終わる頃には、査定額を左右する10のポイントについて理解し、自分の土地の場合はどんな影響を与えるか分かるはずです。ぜひ最後までじっくりとお読みいただければ幸いです。

1. 土地の査定方法には2つのアプローチがある

冒頭でも説明しましたが、土地の査定方法には、公的評価額などを使って自分で査定する方法と、不動産会社に土地の査定を依頼する方法の2つがあります。

1-1. 自分で土地の価格を査定する方法

自分で土地の価格を調べて適正価格を知っておくことで、不動産会社への査定依頼時にも有利に交渉を進めることができます。

自分で価格を査定する方法には、以下のような方法があります。

◎土地の公的評価額を調べて参考にする方法
・公示地価と基準地価
・相続税路線価
・固定資産税評価額

◎周辺の取引価格を調べて参考にする方法
・土地総合情報システム

詳しい調べ方は、2. 自分で土地価格の目安を査定する方法で解説しています。

1-2. 不動産会社に依頼して査定してもらう方法

自分で土地の価格を調べることも重要ですが、素人の査定には限界があります。公的評価額や周辺の取引価格を調べてもそれは目安でしかなく、あなたの土地固有の評価を反映できないからです。

詳細な査定額を出すためには、その土地の公法上の規制や、駅からの距離、面積、道路との関係など、さまざまな要因を加味した評点を反映させる必要があります。

不動産会社に依頼して査定してもらうことで、長年の経験やデータをもとに、確かな査定額を算出できるのです

不動産会社が査定するうえでどんなポイントを評価するのか、土地の価格はどう決まるのかについては、4. 不動産会社の土地査定で査定額を左右する10のポイントで詳しく解説しますので参考にしてください。

2. 自分でできる土地価格の査定方法

まず、自分で土地の価格目安を査定する方法を解説します。

2-1. 土地の公的評価額を調べて参考にする方法

自分でできる土地価格の査定方法の一つ目は、土地の公的評価額を調べる方法です。

土地の価格には、以下のような3つの公的な評価額があります。

評価額の名称

概要

公示地価・基準地価

土地売買の目安となる価格のこと。公示地価は国土交通省が、基準地価は都道府県が発表する。

路線価(相続税路線価)

国税庁が発表する相続税や贈与税の基準となる価格のこと

固定資産税評価額

市区町村が固定資産税を計算するために不動産を評価した価格のこと

これらの公的評価額を参考にすることで、自分が保有している土地の価格目安を知ることができます。

①公示地価・基準地価を参考に土地を査定する方法

出典:国土交通省「標準地・基準地検索システム

公示地価と基準地価はどちらも、公的機関が毎年公表している土地の基準となる価格のことです。公示地価は国土交通省が毎年1月1日時点の地価を3月に発表し、基準地価は各都道府県が7月1日時点の地価を9月に発表します。

全国からそれぞれ約2万カ所が標準地(または基準地)として選ばれ、「この土地の地価は1㎡あたり〇円です」と発表されます。ただし、選ばれた地点が調べたい土地と距離が離れている場合など、参考にできない場合もあります

<自分で査定する方法>

  1. 国土交通省の「標準地・基準地検索システム」にアクセス
  2. 地価を調べたい地域を選択する
  3. 調べたい土地に近い条件の地価を確認する
  4. 以下の計算式で、査定金額を算出する
    似ている条件の土地の公示価格 × 土地の面積 × 1.1(または1.2)

公示価格(公示地価・基準地価)から実際の土地価格を算出する方法について詳しく知りたい方は、公示価格と実勢価格の違いを解説|公示価格と実勢価格の調べ方付きの記事もご覧ください。

②相続税路線価を参考に土地を査定する方法

出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」

相続税路線価とは、国税庁が土地の価格を道路ごとに決めるもので、毎年発表されています。単に「路線価」と呼ばれることもあります。

土地が接している道路ごとに値段が決められているため、路線価を確認すれば簡単に土地の簡易的な評価額を査定できます。

<自分で査定する方法>

  1. 国税庁の「路線価図・評価倍率表」にアクセス
  2. 路線価を調べたい地域を選択する
  3. 路線価図を表示させたら、調べたい土地が隣接している道路の数字を確認する
    ※道路に面している土地の1平方メートルあたりの価格(千円単位)が表示されている
    ※数字が「270D」なら路線価は1平方メートルあたり27万円(アルファベットは無視してOK)
  4. 以下の計算式で査定額を算出する
    路線価 × 土地の面積 ÷ 0.8 × 1.1(または1.2)

相続税路線価から実際の土地価格を算出する方法について詳しく知りたい方は、「路線価と実勢価格の違いを解説|路線価と実勢価格の調べ方や計算方法付き」の記事をご参照ください。

③固定資産税評価額を参考に土地を査定する方法

出典:大阪市

固定資産税評価額とは、土地の所有者が毎年支払う固定資産税の基準となる土地の価格のことです。各市区町村(東京23区のみ東京都)が算定して毎年納税額を所有者に通知しているため、見覚えがある方も多いのではないでしょうか。

毎年送られてくる「固定資産税の納税通知書」を見れば、固定資産税評価額は一目瞭然です。なお、固定資産税評価額は実際に売買される価格の70%程度を目安に決められているため、【固定資産税評価額÷0.7】で計算すると、売却価格の目安価格とすることができます。

<自分で査定する方法>

  1. 固定資産税の納税通知書を手元に用意する
  2. 課税明細書の土地の欄の「価格」「評価額」欄を確認する
  3. 以下の計算式で査定額を算出する
    固定資産評価額 ÷ 0.7

2-2. 周辺の土地の取引価格を調べて参考にする方法

自分で土地の査定額を調べる方法の2つ目は、周辺で実際に売却された土地の最終取引価格を調べて参考にする方法です。

国土交通省が運営している「土地総合情報システム」では、過去の不動産取引価格情報検索が可能です。

出典:国土交通省「土地総合情報システム」

<自分で査定する方法>

  1. 国土交通省「土地総合情報システム」にアクセスする
  2. メニューから「不動産取引価格情報検索」を選ぶ
  3. 調べたい地域や検索条件を絞り込む
  4. 調べたい地域の土地の取引価格情報を確認する

調べたい土地の周辺での坪単価や取引価格などを確認できるため、簡易的に土地の査定額を算出する目安となるでしょう。

ただし、自分で土地の価格を査定する方法はあくまで目安の域を超えません。実際は、立地や面積、形状、間口の広さなど、土地固有のさまざまな要因が価格を左右するものです。そのため、実際に売却できる価格に近い査定金額を知りたいならば、査定のプロである不動産会社に依頼する方法がおすすめです。

3. 不動産会社に土地査定を依頼する方法

不動産会社に土地査定を依頼するには、不動産会社に決めて直接査定を依頼する方法と、不動産一括査定サイトを利用して複数の会社に査定を依頼する方法があります。

おすすめは一括査定です。なぜならば初めから一社に絞って査定を依頼してしまうと、その会社の査定金額を信じるしかなくなり、結果的に売却時に損してしまう危険性があるからです。一方、複数の会社に同時に査定を依頼すれば、複数の査定結果を比較して納得感のある査定金額を得ることができます。

土地査定の流れ

査定依頼(一括査定)を申し込む
訪問日時を決める
訪問査定前の準備をする
訪問査定(現地調査)してもらう
査定結果の報告を受ける
媒介契約締結に進む

査定依頼から簡易査定の結果が届くまでは数日程度、そして訪問査定の結果が届くまでは一週間程度を見込んでおくと良いでしょう。

土地査定の流れや準備などさらに詳しく知りたい方は、土地査定を分かりやすく解説!査定の流れや依頼前に準備すべきことが分かるの記事をご覧ください。

4. 不動産会社の土地査定で査定額を左右する10のポイント

土地の価格を査定する場合に一般的な方法が、不動産会社に依頼して査定してもらう方法です。特に実際に現地を調査してもらうことで、個々の土地の状況を加味した査定額を算出できます

土地査定には「取引事例比較法」が使われることが多く、条件が近い取引事例を参考に価格が決められます。そこから以下のような土地固有の要素を加点したり減点したりして、最終的な査定結果を出していきます。

査定額を左右するポイント

用途地域

さまざまな建物を建てられる用途地域ほど、用途の多様性が広がるため土地価格が高くなる傾向にある。

駅からの距離

駅からの距離が近い土地の方が査定額は高くなる。ただし、徒歩圏外の場所の場合は、それほど関係がなくなることも。

土地の面積

・利用規制が緩いエリア:土地が広い方が活用方法が多いため、土地の単価は高くなる
・利用規制が厳しいエリア:土地が広いと開発が難しいため、土地の単価は低くなる

土地の形状

いびつな土地より正方形など整った形の土地の方が、価格は高くなる傾向がある

前面道路の幅

前面道路の幅が短い場合、容積率が下がってしまうことがあるため、土地の価格は下がりやすい

間口と奥行きの長さ

間口が狭すぎる土地や奥行きが長すぎる土地は、価格が下がることがある

道路との関係(角地・二方路地など)

一方のみ道路に面している土地よりも、角地や二方路地の方が価格が高くなる傾向

道路に対しての高低差

道路に対して低い位置にある土地は、価格が低くなることがある

土壌汚染・埋蔵文化財の存在

土壌汚染や埋蔵文化財がある場合、価格を大きく下げる原因となる

近隣の嫌悪施設の存在

近くに「嫌悪施設」がある場合は価格が下がる傾向がある

10項目について、さらに詳しく解説していきます。

4-1. 用途地域

用途地域とは、「このエリアはこの用途のみで使ってください」と決められた地域のことです。例えば「このエリアには住宅しか建てられません」「ここは店舗でもビルでもホテルでも建てられます」など、13種類の用途地域が定められているのです。

住居系用途地域:
「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」

商業系用途地域:
「近隣商業地域」「商業地域」

工業系用途地域:
「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」

※土地がどの用途地域に属しているかは、自治体のホームページに掲載されています。検索サイトから「地域名+用途地域」で調べて、市区町村の都市計画図を確認してみましょう。

用途地域によって土地の利用方法が制限されてしまうため、土地の価格に大きな影響を与えます。例えば住居しか建てられない地域よりも、住居も店舗も商業施設も建てられる地域の方が買い手の絶対数が多くなり、需要が大きくなることは容易に想像が付きますよね。

もっとも利用制限が厳しいのが「第一種低層住居専用地域」と呼ばれるエリアで、低層の一戸建てしか建てられず容積率の制限もあります。大型店舗やマンションも建てられないため、土地利用にかなり制約がかかり、土地の査定価格も上がりにくいといえます。ただし閑静な住宅地として逆に人気が高いエリアもあります。

逆に最も利用制限が緩いのは商業地域です。商業地域には、店舗や住宅、ホテル、風俗店なども建てられるので、さまざまな買い手が土地を欲しがるエリアといえます。結果的に商業地域の土地査定価格も高い水準になりやすいのです。

【査定のポイント】土地の用途地域がどのエリアに属しているか
さまざまな建物を建てられる用途地域ほど、用途の多様性が広がるため土地価格が高くなる傾向にある。

4-2. 駅からの距離

土地の査定額に大きな影響を与える2つ目のポイントは、駅からの距離です。駅から徒歩3分の土地と10分の場所にある土地では、前者の方が価格が高くなりそうだということは分かりますよね。

住宅の場合も店舗の場合も、基本的には駅から近い土地の方が、土地の査定額は高くなります。駅から近い方が利便性が高いためです。

ただし駅から徒歩圏内と言えないほど離れてしまうと、今度は駅からの距離はそれほど問題ではなくなります。その場合は、バス停からの距離や商業施設からの距離などの方が重要になることもありえます。

【査定のポイント】駅からどのくらいの距離にある土地か
・駅からの距離が近い土地の方が査定額は高くなる
・徒歩圏外の場所の場合は、それほど関係がなくなることも

4-3. 土地の面積

土地の面積が広いか狭いかも、土地の査定価格に大きな影響を与える要素です。単純に考えて、50坪と100坪の土地があったら100坪の土地の方が土地の総額は高くなりますが、坪単価に関しても広さが影響を与える場合があります

ただし、土地が広い方が単価が高くなるケースと、低くなるケースが存在するため注意が必要です。

①土地の面積が広いと単価が高くなるケース

一般的には、土地の面積が広い方が土地の活用方法が広がるため、必然的に需要が高くなり土地の値段は高くなります。例えば50坪の敷地では戸建住宅しか建てられませんが、500坪程度あればマンションや商業施設などが建てられるため利用価値が高く、買い手が付きやすいからです。

マンションは階数が多く、一戸建てに比べて部屋数を多く作れるため、結果的に何倍もの人に土地を売却できるので、土地単価が上がります。

②土地の面積が広いと単価が低くなるケース

先ほどとは逆に、土地の面積が広いと単価が低くなってしまうケースもあります。それは、建てられる建物の規制が厳しいエリアの土地です。具体的には、「第一種低層住居専用地域」や「市街化調整区域」の土地などがこのケースに該当します。

「第一種低層住居専用地域」は10mまたは12mまでの高さの建物しか建てられず、外壁の交代距離制限などの規制も設けられています。そのため、1~2階建ての低層住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街が形成されています。基本的に住宅や学校などしか建てられないエリアで、店舗や事務所などは建てられないため、土地を欲しがる人が限定されてしまい、土地の面積が広くても活用しきれず価格が下がってしまうのです。

「市街化調整区域」は、主に農業や林業を行うエリアで開発の制限がされており、マイホームを建築する際にもさまざまな制限が設けられています。建物を建てるときはもちろん、増改築やリノベーションする場合にも自治体に開発許可が必要だったり、容積率や建ぺい率の制限があったりするため、どうしても土地の購入候補者も購入にシビアになりがちです。

このように、面積が広いと逆に単価が低くなりがちな土地もあることを理解しておきましょう。

【査定のポイント】土地が広いか狭いか
・利用規制が緩いエリア:土地が広い方が活用方法が多いため、土地の単価は高くなる
・利用規制が厳しいエリア:土地が広いと開発が難しいため、土地の単価は低くなる

4-4. 土地の形状

土地の形状は、正方形など整った形の土地ほど価格が高くなる傾向にあります。逆に、細長すぎる土地や形がいびつな土地は、建物を建てにくいため土地の価格が低くなることがあります。

例えば住宅地の場合、土地の形状がいびつであると家の間取りがかなり変形になってしまうため、どうしても相場より低い査定額となります。ただし、その形状を生かしてうまく建物を活かせるような土地ならば、形状による価格の影響は低く収まるでしょう。

また、土地が広ければ多少形がいびつでもそれほど問題にならないため、価格に与える影響も少なくなります。

【査定のポイント】土地の形状
いびつな土地より正方形など整った形の土地の方が、価格は高くなる傾向がある

4-5. 前面道路の幅

土地が接している前面道路の幅が狭い場合は、建てられる建物が小さくなることがあり、土地価格が低くなる可能性があります。なぜかというと、前面道路の幅によって容積率が変わるからです。

容積率とは「土地面積に対する建物の延べ床面積の割合」のことをいい、200%や100%のような数値で定められています。容積率が200%の場合、100㎡の土地なら床面積200㎡までの建物を建てられるという意味です。

例えば住居系の用途地域内で、容積率の限度が200%の土地があるとします。前面道路の幅が4mしかなければ、その土地の容積率は4m×0.4×100%=160%となります。一方、前面道路の幅が5mあれば、容積率は200%となり、先ほどよりも広い家を建てることができるのです。

このように、用途地域や容積率が同じ地域であっても、前面道路の幅によって容積率に差が出てきてしまうことがあるのです。

【査定のポイント】前面道路の幅
前面道路の幅が短い場合、容積率が下がってしまうことがあるため、土地の価格は下がりやすい。

4-6. 間口と奥行きの長さ

間口が狭すぎたり、間口は狭いのに奥行きが長すぎたりする土地は、利用しづらいと判断されることがあるため、査定価格が伸び悩むことがあります

間口とは道路が面している土地の長さをいい、もう一方の辺を奥行きといいます。

一般的に、間口は広い方が好まれ、間口が狭い土地は利用しづらいため敬遠されてしまいます。間口が広ければ正面に駐車場と玄関を設置できるため出入りしやすいですが、間口が狭いと駐車スペースの後ろに玄関を作るなど工夫が必要となるからです。

奥行きも長い方が良いですが、間口は狭いのに奥行きが長い「うなぎの寝床」のような土地は、間取りに制限が出てくるため同様に価格が上がりにくいといえるでしょう。

【査定のポイント】間口と奥行きの長さ
間口が狭すぎる土地や奥行きが長すぎる土地は、価格が下がることがある

4-7. 道路との関係(角地・二方路地など)

土地が道路とどのように接しているかによって、土地の価格は左右されます。

説明

角地

二つの道路で角ができている土地

二方路地

二つの道路に挟まれている土地

中間画地

一方でのみ道路に面している土地

上記のような立地の土地があった場合、角地や二方路地は、中間画地よりも価格が高くなるのが一般的です。その理由としては、日当たりや風通しが良いことや、二方向からの進入が可能なこと、建ぺい率が緩和される場合などがあります。また同じ角地でも、南側と東側で道路に面している土地の方が日当たりの面から人気となります。

それではもっと道路に囲まれている「三方路地」や「四方路地」がより人気かというと、住宅地の場合は防犯上の問題や視線が気になるなどの理由から、必ずしも価格が高くなるわけではありません。

【査定のポイント】道路との関係(角地・二方路地など)
一方のみ道路に面している土地よりも、角地や二方路地の方が価格が高くなる傾向

4-8. 道路に対しての高低差

道路に対して低い位置にある土地は、一般的に価格が低くなりがちです。

理由としては、道路より低い位置にある土地の場合、生活排水を引き上げるための排水工事のコストがかかるからです。また、日当たりや風通しが良くない可能性も高いからです。

逆に、道路より高い位置にある土地は、多少の高低差であれば価格に影響することは少ないでしょう。ただし、道路から高すぎる場合は、敷地内に階段を設置しなければならないなどの事情が発生するため、価格が落ちる原因になることがあります。

【査定のポイント】道路に対しての高低差
道路に対して低い位置にある土地は、価格が低くなることがある

4-9. 土壌汚染・埋蔵文化財の存在

あまり一般的なケースではないかもしれませんが、土壌汚染されている土地や埋蔵文化財がある土地は、価格を大きく下げる原因になりえます。

土壌汚染には膨大な対策費用がかかることから、こうした土地は買い手が付きにくいと言わざるを得ません。また、埋蔵文化財(遺跡や遺物など)が見つかった場合は、文化財を保護するための調査が行われたり、開発が停止されたりする可能性があります。

【査定のポイント】土壌汚染・埋蔵文化財の存在
土壌汚染や埋蔵文化財がある場合、価格を大きく下げる原因となる

4-10. 近隣の嫌悪施設の存在

嫌悪施設とは、産業廃棄物処理場や下水処理場、墓地、送電線、軍事基地、風俗店など、人に不快感を与えるような施設のことをいいます。こうした施設が近くにある場合、土地の価格は相場と比べて下がる傾向があります

宅地建物取引業法ではこうした不利な情報は事前に説明するルールとなっているため、近くに嫌悪施設がある場合、売却時の重要事項説明の中で必ず買い手に説明が行われます。

施設の種類や規模、施設からの距離によっても、土地の価格に影響を与える範囲はまちまちですが、近くにこうした施設がある場合は価格が下がる可能性があることを知っておくと良いでしょう。

【査定のポイント】近隣の嫌悪施設の存在
近くに「嫌悪施設」がある場合は価格が下がる傾向がある

5. 査定前にしておくといいこと

土地の査定を業者にお願いする前に、4章で解説したポイントをもとに、自分なりに査定額を左右するポイントとなる項目について整理しておくと良いでしょう。

下記のオレンジ部分を埋めてから査定に臨むようにしましょう。

査定前に確認するべきこと

査定額を左右するポイント

土地の用途地域は
     地域

さまざまな建物を建てられる用途地域ほど、用途の多様性が広がるため土地価格が高くなる傾向にある。

駅からの距離
     分

駅からの距離が近い土地の方が査定額は高くなる。ただし、徒歩圏外の場所の場合は、それほど関係がなくなることも。

土地の面積
 広い・狭い 

・利用規制が緩いエリア:土地が広い方が活用方法が多いため、土地の単価は高くなる
・利用規制が厳しいエリア:土地が広いと開発が難しいため、土地の単価は低くなる

土地の形状
 整っている・いびつ 

いびつな土地より正方形など整った形の土地の方が、価格は高くなる傾向がある

前面道路の幅
   m

前面道路の幅が短い場合、容積率が下がってしまうことがあるため、土地の価格は下がりやすい

間口と奥行きの長さ
     

間口が狭すぎる土地や奥行きが長すぎる土地は、価格が下がることがある

道路との関係(角地・二方路地など)
 角地・二方路地・その他 

一方のみ道路に面している土地よりも、角地や二方路地の方が価格が高くなる傾向

道路に対しての高低差
 高い・低い 

道路に対して低い位置にある土地は、価格が低くなることがある

土壌汚染・埋蔵文化財の存在
 ある・ない 

土壌汚染や埋蔵文化財がある場合、価格を大きく下げる原因となる

近隣の嫌悪施設の存在
 ある・ない 

近くに「嫌悪施設」がある場合は価格が下がる傾向がある

価格に影響を与えそうな項目が見つかった場合は、土地査定の際に担当者にその影響の度合いを確認してみると良いでしょう。

6. 土地を査定するなら一括査定がおすすめ

ここまで土地の査定価格に影響する10個のポイントを解説してきました。

読み進めることでざっくり理解できたとは思いますが、であるからといって素人がこれらの要素の価格への影響を正しく査定額に反映させることは至難の業です。

その土地固有の査定金額を正しく査定するためには、都市計画法や建築基準法などの専門的な知識を身につけていて、さらにエリアごとの状況などを知っている不動産会社に査定してもらうのが一番です。また、できれば一社だけにお願いするのではなく、複数の会社に査定をお願いする「一括査定」がおすすめです。

一括査定を使えば不動産会社を探す手間も省けますし、一回の申込で複数の不動産会社に査定を依頼できます。また、一社だけでなく複数の不動産会社から査定結果をもらうことで、「本当にこの査定結果は正しいのか?」という不安を払拭し、納得感を持って売却に進むことができるのです。

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まとめ

この記事では、

  • 自分で土地の価格を査定する方法
  • 不動産会社に土地の価格を査定してもらう方法

について、詳しく解説してきました。

また、土地を査定する際に価格に影響を与える10のポイントも解説しました。

◎査定額を左右する10のポイント

  • 用途地域
  • 駅からの距離
  • 土地の面積
  • 土地の形状
  • 前面道路の幅
  • 間口と奥行きの長さ
  • 道路との関係(角地・二方路地など)
  • 道路に対しての高低差
  • 土壌汚染・埋蔵文化財の存在
  • 近隣の嫌悪施設の存在

査定額を左右するポイントは10項目もあり、それぞれ自分だけではどの程度価格に影響するかを推測することは到底できません。

そのため、正しい査定額を知りたければやはりプロの不動産会社に査定を依頼する方法が一番です。査定額を見誤れば、土地を売却する際のスタート金額を間違ってしまい、結果損してしまうことにつながりかねません。

土地の売却を成功させたい方は、まずは一括査定から複数の業者に実際に土地を見てもらい、正しい査定金額を出してもらうことが不可欠です。あなたの土地売却が成功することをお祈りしております。

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