「相続した土地の名義変更はどのようにすればいいの?」
「相続した土地の名義変更はいつまでにやればいいの?」
結論からお伝えすると、土地を相続した時に必要な名義変更は、相続から3年以内に、法務局の登記所に必要書類を提出することで手続きできます。
しかし、必要書類と一言で言っても、相続の状況や相続人の数などの条件によって、書類の種類や数が変わります。
相続にかかる費用や、自分でやる方法と司法書士に依頼する方法の違いなど、名義変更についてきちんと知っていないと、スムーズに名義変更を進めることができないばかりか、余分な費用や手間がかかってしまうこともあるのです。
そこでこの記事では、相続した土地の名義変更について詳しく紹介します。
この記事を読めば、
◎土地の名義変更を行う流れ |
がわかります。
この記事を読めば、土地の名義変更をどのように行えばいいのか、費用や方法、手順がわかり、スムーズに手続きを進めることができます。
相続した土地の名義変更をなるべく手間と費用をかけずに行いたいと考えている場合は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.相続時した土地の名義変更までに準備すべきこと一覧
土地を相続したら、必ず名義変更を行わなくてはならないことを紹介しましたが、相続が発生してすぐに土地の名義変更ができるという訳ではありません。
きちんと土地の名義変更をするためには、その前に相続の手続きを行う必要があります。
また土地の名義変更をスムーズにトラブルなく進めるには、相続の手続きの時点でいくつか注意しておきたいこと、準備しておきたい点があるのです。
土地の名義変更をスムーズに行うために、相続の手続きで準備しておくべきことは次の通りです。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
すでに準備ができているという方は「2.土地を相続したら名義変更はすぐに始めるべき」に進んでください。
1-1.相続財産を特定する
被相続人が亡くなり、相続が発生したら、まずは相続する財産がどれくらいあるのかを特定します。土地や建物などの不動産、銀行へ預けてある預金、株などの証券などすべての財産を調べましょう。
相続財産の中に土地がある場合は、所在地、面積、権利関係をはっきりさせる必要があります。
所在地や面積がはっきりしていないと、名義変更の手続きがうまくいかなかったり、遺産分割協議書が無効になってしまう場合があります。
まずは相続財産に土地があるかを調べておき、土地がある場合は所在地などを登記事項証明書で確認しておきましょう。
土地の情報を調べるのに必要な書類は以下のようになります。
書類の種類 |
取得できる場所 |
費用 |
名寄帳 |
土地のある市町村役場 |
1通200~300円 |
固定資産税評価証明書 |
土地のある市町村役場 |
1通200~400円 |
土地の登記事項証明書 |
法務局 |
1通480~600円 |
被相続人が所有している不動産の数がはっきりしない場合は、市町村役場で名寄帳を取得します。
名寄帳には、被相続人が所有していた不動産が一覧で記載されるため、相続対象となる不動産が特定しやすくなります。
相続の対象となる不動産があらかじめ分かっている場合は、その土地や建物の固定資産税納税通知書を探します。
これはこの後名義変更を行う際に納める登録免許税の税額を計算するために必要になるものです。土地や建物の不動産を所有している場合、毎年4月から5月に市町村から送付されますから、被相続人がこの書類を保管していないかを確認しましょう。
固定資産税納税通知書がない場合は、不動産がある市町村役場で固定資産税評価証明書を取得します。
名寄帳を取得している場合は、名寄帳に固定資産税評価額が記載されているため必要ありません。
土地をはじめとする不動産がどれくらいあるのかがはっきりしたら、それぞれの不動産についての登記事項証明書を法務局で取得します。
土地の場合、所在地や面積などが記載されていますから、遺産分割協議を行う前に取得し、協議の際に参考にしましょう。
1-2.相続人を特定する
相続財産の特定を行い、ある程度相続財産があることがわかったら、次に相続人を特定します。
法定相続人を特定するには、被相続人の戸籍を集める必要があります。
まずは最新の戸籍謄本を取得し、婚姻・転籍・改製などがあれば、1つ前の戸籍謄本を取得します。これを繰り返して被相続人の出生時の戸籍までたどります。
土地の名義変更の手続きにも被相続人の戸籍は必要となりますから、あらかじめ集めておきましょう。
取得できる場所 |
被相続人の本籍がある市町村役場 |
取得できる人 |
戸籍に記載されている人、その配偶者、直系親族、委任状を持っている人 |
必要書類 |
申請書、本人確認書類 |
費用 |
戸籍謄本1通あたり450円程度 |
1-3.遺言書を確認する
遺産が誰のものになるのかは、遺言書が優先されます。遺産分割協議の前に遺言書が残されていないかを確認しましょう。
土地についての記述が遺言書にある場合、土地の名義変更に遺言書が必要になります。
遺言書はとても大切なものですから、きちんと保管し、名義変更の際に使えるようにしておきましょう。
公正証書遺言と、法務局において保管されている自筆証書遺言書以外の遺言書は家庭裁判所の検認が必要になります。遺言書が見つかってもすぐに開封せず、まずは家庭裁判所に提出して検認を受けましょう。
遺言書の検認についての手続きについては裁判所のサイトを参考にしてください。
遺言書の内容に相続人全員が納得しない場合は、遺産分割協議による遺産分割も認められています。遺言書がない場合や、遺言書の内容に納得しない場合は次の「1-4.遺産分割協議書の作成」に進みましょう。
参考:裁判所 遺言書の検認
1-4.遺産分割協議書の作成
遺言書がない場合や、遺言書の内容に相続人全員が納得しない場合は、遺産分割協議を行い、話し合いで遺産を分割します。
話し合いが終わったら、その内容を記した遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には相続人全員の署名と捺印が必要ですので、忘れずに行いましょう。
遺産分割協議書は、土地の名義変更の際にも必要です。
土地を遺産分割協議書で相続する場合は、登記事項証明書の内容を正確に記載しておきましょう。
1-5.相続登記で名義変更
遺産分割協議書を作成し、誰が土地を相続するのか、土地の名義人が誰になるのかが決まったら、相続登記の手続きを行い名義変更します。
相続登記の手続きについては、「5.自分で土地の名義変更する手順」と「6.司法書士に依頼して土地の名義変更する手順」でそれぞれ詳しく紹介しますので参考にしてください。
2.土地を相続したら名義変更はすぐに始めるべき
土地を相続することが決まったら、名義変更はいつまでに行えばいいのでしょうか?
結論からお伝えすると、遺言や遺産分割協議が終わり土地を自分が相続することが決まったら、名義変更の手続きはすぐに始めるべきです。
なぜなら、相続した土地の名義変更を行わないままでいると、罰金を支払うことになる、土地を売れない、自分以外の相続人の借金によって差し押さえられるなどのトラブルやデメリットが起こる可能性があるからです。
土地の名義変更を行わなかった場合に起こる可能性があるトラブルやデメリットは次のようなものが挙げられます。
土地の名義変更を行わなかった場合に起こるトラブルやデメリット |
|
それぞれについて詳しく紹介していきましょう。
2-1.期限までに名義変更しないと罰金が発生する
土地を相続したら、期限内に必ず相続登記の手続きを行い、名義変更しないと10万円以下の罰金が発生してしまいます。
名義変更の期限は、相続が発生した時(被相続人が亡くなった時)によって変わります。
相続が発生した時 |
名義変更の期限 |
2024年4月1日よりも前 |
2027年4月1日 |
2024年4月1日以降 |
相続が発生してから3年以内 |
相続した土地の名義変更が義務化される法律が施行されるのが、2024年4月1日です。施行前に相続が発生している場合は、施行日から3年以内が期限となります。
施行日である2024年4月1日以降に相続が発生した場合は、3年以内に相続登記しなくてはいけません。
相続が発生した時というのは、被相続人が亡くなり、自分が相続人であることを知った時です。
配偶者や子どもなど近しい親族の場合は、被相続人が亡くなった時点で自分に相続の権利があることが分かっていますから、被相続人が亡くなった時から3年以内となります。
配偶者や子供といった直系親族がいない遠い親族の相続人になった場合、被相続人が亡くなったことを知るまでに時間がかかることもあります。その場合は、被相続人が亡くなったことを知らされた時点から3年以内が名義変更の期限です。
どの場合でも、期限内に正当な理由なく名義変更を行わなかった場合は10万円以下の罰金が発生しますから、なるべく早めに名義変更の手続きを行いましょう。
2-2.土地を売ったり担保に入れることができない
土地を相続しても、名義変更をしなくては自分のものであるとは公的に認められません。
そのため名義変更していない状態では、土地を売却したり、担保に入れてお金を借りることができないのです。
せっかく相続した土地を役立てたいと思うのなら、なるべく早めに名義変更しておくことが大切です。
2-3.名義変更の手続きが複雑になる
名義変更しないまま時間が経ってしまうと、名義変更のための手続きが複雑になってしまう可能性があります。
名義変更をしていない状態では、土地は相続人全員が共有している状態です。
名義変更手続きをしないまま相続人が亡くなってしまうと、相続の権利はその人の子どもや孫に引き継がれてしまうため、相続人の数が増えてしまうのです。
相続人の数が増えれば必要な書類もそれだけ増えますし、共有する相続人が増えて20人、30人となってしまえば全員の同意を取るのも難しくなります。
また、増えた相続人の中に認知症を発症する人が出てきてしまう、行方がわからず連絡がとれない人が出てきてしまう可能性もあります。
そのような状況になれば、成年後見人を立てる、不在者財産管理人を立てるなど、さらに複雑な手続きや費用が必要になってしまうのです。
手間や費用をなるべく少なくするためにも、名義変更の手続きは早めに行うのがよいのです。
2-4.勝手に名義変更される可能性がある
相続した土地の名義変更をしないままでいると、自分以外の相続人に勝手に名義変更をされてしまう可能性があります。
相続した土地を名義変更するには、遺言書や遺産分割協議書が必要です。しかし、法定相続分であれば、遺言書や遺産分割協議書がなくても名義変更手続きができてしまいます。
例えば、配偶者と子ども二人が相続人の場合で考えてみましょう。
土地を配偶者一人の名義に変更するには、遺言書か遺産分割協議書が必要です。しかし、法定相続分である2分の1だけであれば、遺言書や遺産分割協議書がなくても名義変更できてしまうのです。
例えば遺産分割協議で自分一人が土地を相続すると決めたのに名義変更しないままにしていると、他の相続人が自分の法定相続分を名義変更した上で、自分の持ち分を売却してしまう、借金の担保に入れてしまうなどされてしまう可能性もあります。
自分の相続した土地の権利を守るためにも、相続したらなるべく早く名義変更をしておきましょう。
2-5.土地を差し押さえられる可能性がある
相続した土地を名義変更していないままだと、他の相続人が借金を返せなくなった場合に差し押さえられる可能性があります。
遺産分割協議で自分が相続すると決まっていても、名義変更していない状態では、土地の権利は相続人全員で共有している状態です。
その状態で相続人の一人が借金を返せなくなってしまった場合、債権者は法定相続分を差し押さえることができてしまうのです。
差し押さえを受けてしまった場合、借金を返済しなくては土地の名義を自分に変えることはできません。
遺産分割協議に従って自分ひとりの名義に変更したい場合は、借金を代わりに返済し、差し押さえを解消しなくてはならなくなってしまうのです。
例えば100万円の借金があり、差し押さえを受けた場合は、100万円と利息を合わせた額を返済しなくてはいけません。
余分な費用を支払わなくてもよいように、名義変更は相続が決まったらなるべく早く行いましょう。
3.相続した土地の名義変更にかかる費用
相続した土地の名義変更をするには、いくらぐらい費用が必要になるのか、すぐに用意できるのかも気になる点ですよね。
相続した土地を名義変更する費用は、土地の価値や名義変更の方法によって変わります。
相続する土地の価値が高ければ高いほど、納める税金が高くなるため費用も上がります。また、名義変更を自分でやるのか、司法書士に依頼するのかで費用が大きく異なります。
土地を名義変更する費用の目安は、1,000万円の土地の場合で次のようになります。
自分で名義変更する場合 |
約5万円 |
司法書士に依頼する場合 |
約12万円 |
名義変更をするだけで、どうしてこんなにかかるの?と思われたかもしれません。
それぞれの費用について何にいくらかかるのかなど詳しくみていきましょう。
3-1.自分で名義変更する場合の費用
自分で名義変更する場合の費用の目安は、1,000万円の土地ひとつの場合で約5万円です。
費用の内訳は次のようになります。
登録免許税 |
名義変更の際に納める税金 |
4万円 |
必要な書類の取得費費用 |
戸籍謄本や住民票を取得する費用 |
1,000~5,000円 |
その他実費 |
交通費や郵送費など |
5,000~10,000円 |
合計 |
➖ |
5万円 |
最も費用がかかるのが、登録免許税です。
登録免許税は、名義変更の手続きの際に納める税金です。
税率は土地の固定資産税評価額の0.4%です。固定資産税評価額は不動産にかかる固定資産税の税額を決めるために不動産を管轄する市町村が決定するもので、「1-1.相続財産の特定」で紹介した固定資産税評価額証明書や名寄帳で確認できます。
必要な書類の取得費用は、名義変更の際に必要になる被相続人の戸籍謄本や、相続人の住民票を取得するためにかかる費用です。
その他実費には、申請のためにかかった交通費や郵送代が含まれます。
これらをすべて合計すると、約5万円となります。
3-2.司法書士に依頼する場合の費用
司法書士に依頼する場合の費用は、1,000万円の土地ひとつの場合で約12万円です。
費用の内訳は次のようになります。
登録免許税 |
名義変更の際に納める税金 |
4万円 |
司法書士への報酬 |
手続きを司法書士が代行するための費用 |
6~8万円 |
必要な書類の取得費費用 |
戸籍謄本や住民票を取得する費用 |
1,000~5,000円 |
その他実費 |
交通費や郵送費など |
5,000~10,000円 |
合計 |
➖ |
12万円 |
司法書士に依頼する場合、司法書士への報酬額が必要になるため費用が高くなります。
司法書士への報酬は、地域や相続する土地の価値、土地を含めた不動産の数によって変わりますが、1,000万円の土地の場合は平均で6~8万円です。
自分で行う場合の費用に、司法書士への報酬を加えた12万円が費用の目安となります。
4.相続した土地の名義変更を行う方法の選び方
相続した土地の名義変更を行うには、2つの方法があります。
相続した土地の名義変更を行う方法 |
|
どちらを選んだ方が良いのかは、相続の状況やどれくらい名義変更に時間をかけられるのかなどによって変わります。
それぞれのメリットや、自分で名義変更を行うのがおすすめのケース、司法書士に依頼するのがおすすめのケースを紹介していきます。
4-1.2つの方法はそれぞれメリットとデメリットがある
自分で名義変更する場合と司法書士に依頼する場合は、それぞれメリットとデメリットがあります。
それぞれのメリットとデメリットは次の通りです。
名義変更の方法 |
メリット |
デメリット |
自分で名義変更する |
費用が安い |
手間と時間がかかる |
司法書士に依頼する |
プロに任せるので楽で早い |
費用が高い |
以下で詳しくご紹介しますね。
4-1-1.自分で名義変更するメリット・デメリット
自分で名義変更するメリットは、費用が安く済むことです。
司法書士の報酬は「3-2.司法書士に依頼する場合の費用」で紹介したように、1,000万円の土地の名義変更を依頼した場合で6~8万円ほどかかります。この費用がないだけで、名義変更にかかる費用が半額以下になるのです。
ただし、すべて自分で手続きしなくてはいけないので、手間と時間がかかります。
手続きに不明な点がある場合、法務局に行って相談窓口で問い合わせをするなどしなくてはいけませんが、法務局の開庁時間は平日日中に限られています。
平日の日中に時間が取れる方であれば手続きができますが、仕事などでなかなか時間が取れない場合、手続きにかかる時間がどんどん長くなってしまうのです。
例えば法務局で相談するのに1日、必要な書類を集める申請手続きに2日、法務局に提出するのに1日かかる場合、合計4日仕事を休まなくてはならなくなります。
仕事をしている方で月1日有休が取れる場合なら、最短でも4ヶ月手続きにかかってしまうのです。
4-1-2.司法書士に依頼するメリット・デメリット
司法書士に依頼する場合のメリットは、時間と手間がかからず、楽でスムーズに名義変更できることです。
難しい書類の作成や、必要な書類の申請なども代行してくれるため、手間がほとんどかからず、時間も短く済みます。
平日の日中出なくてはならない手続きもほとんど代行して貰えるため、仕事を休む必要もありません。
その代わり、費用はかかります。
4-2.自分で土地の名義変更するのがおすすめのケース
自分で名義変更するのがおすすめなのは次のようなケースです。
自分で土地の名義変更するのがおすすめのケース |
|
土地の名義変更の手続きは、平日の日中だけしかできないものが多くあります。そのため、時間に余裕があり平日の日中に手続きができる人の場合は自分で土地の名義変更をしてもよいでしょう。
また、相続人が自分一人、もしくは配偶者と子どもだけの場合も、書類が少なく済み、所要時間も短くなりやすいので自分で土地の名義変更をするのがおすすめです。
4-3.司法書士に依頼するのがおすすめのケース
相続した土地の名義変更を司法書士に依頼するのがおすすめなのは、次のようなケースです。
司法書士に依頼するのがおすすめのケース |
|
仕事などで平日の日中に手続きを進めることが難しい人の場合は、司法書士に依頼して名義変更を行ってもらった方がよいでしょう。
また、相続人が兄弟姉妹や、甥、姪など配偶者と子ども以外の場合は、名義変更に必要な書類も多く、手続きが難しくなります。
何代にもわたって名義変更していない場合、名義変更する前に相続人の一人が亡くなり、相続人が増えた場合も同様に、手続きの手間が増えてしまうため、司法書士に依頼するのがよいでしょう。
5.自分で土地の名義変更する手順
自分で名義変更を行う場合の手順は次のようになります。
それぞれ詳しく紹介します。
5-1.登記事項証明書を取得する
まずは名義変更する土地の登記事項証明書を取得します。
遺産分割協議を行って遺産分割する場合は、遺産分割協議書を作成する前に登記事項証明書を取得し、遺産分割協議書に登記事項証明書に記載されている所在地、面積などをきちんと記しておきましょう。
相続人が一人で遺産分割協議が必要ない場合は、名義変更の前に登記事項証明書を取得し、土地について抵当権や広さなどを確認しておきます。
5-2.法務局で手続きを相談する
土地の名義変更が初めての場合など、手続きに不明な点がある場合は、相続した土地を管轄する法務局の窓口で手続きについて相談しておくとスムーズに進められます。
管轄の法務局や各法務局の電話番号は、法務局のサイトで確認できます。
法務局のサイトで分からない場合は、土地のある県の法務局本局に電話で問い合わせを行い、土地の所在地を伝えると管轄する法務局を教えてもらえます。
管轄の法務局で手続きを相談する場合は、事前に電話で問い合わせを行い、予約をしておきましょう。
5-3.必要書類を取得する
法務局の相談窓口で手続きや必要書類について教えて貰ったら、名義変更に必要な書類を取得します。
名義変更に必要な書類は次の通りです。
書類 |
必要な場合 |
取得できるところ |
費用 |
被相続人の戸籍謄本一式 |
どんな場合も必要 |
本籍のある市町村役場 |
一通450円 |
被相続人の住民票の除票 |
住民票のある市町村役場 |
一通200~400円 |
|
相続人全員の戸籍謄本 |
本籍のある市町村役場 |
一通450円 |
|
相続人全員の住民票 |
住民票のある市町村役場 |
一通200~400円 |
|
固定資産税評価証明書 |
相続する土地がある |
一通200~400円 |
|
遺言書 |
遺言書による相続の場合 |
➖ |
➖ |
遺産分割協議書 |
遺産分割協議による |
➖ |
➖ |
相続人全員の印鑑証明 |
住民票のある市町村役場 |
一通200~500円 |
それぞれ取得できるところが異なりますから、確認して取得しましょう。
5-4.登記申請書を作成する
名義変更の手続きのために、登記申請書を作成します。
登記申請書は、パソコンなどで作成し印刷する、手書きで作成するどちらでも構いません。
法務局のサイトにひな形がありますから、ダウンロードして使用すると良いでしょう。
ひな形には次のような種類があります。
登記申請書の種類 |
|
自分の相続の状況に合わせたものを選んで使いましょう。
5-5.申請書を法務局に提出する
登記申請書や必要書類が揃ったら、管轄の法務局に提出します。
書類の提出は、窓口に提出、オンラインで提出、郵送で提出の3つから選べます。
オンラインで提出する方法はこちらのページに解説されています。
郵送で提出する場合は、管轄の法務局宛に書留郵便またはレターパックを利用して郵送します。
それぞれのメリットと注意点は次の通りです。
提出方法 |
メリット |
注意点 |
窓口で提出 |
間違いがあった場合その場で訂正できる |
平日の8時30分~午後5時15分の間のみ受付 |
オンラインで提出 |
自分のタイミングで自宅から申請できる |
マイナンバーカードと |
郵送で提出 |
自分のタイミングで申請できる |
修正箇所がある場合は再度手続き |
自分に合った方法で申請しましょう。
6.司法書士に依頼して土地の名義変更する手順
司法書士に依頼して土地の名義変更を行う場合の手順は次の通りです。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
6-1.事前相談・見積もり
まずは司法書士事務所で事前相談を行います。
司法書士事務所は、直接会って相談したい場合自宅近くで営業しているところを探すと良いでしょう。インターネットなどで「地名+司法書士」と検索すると司法書士事務所がみつかります。
依頼や相談はオンラインで受け付けている事務所もあります。zoomなどのオンライン会議アプリを利用できる方の場合は、オンライン相談が可能な事務所を選んでも良いでしょう。
司法書士の報酬は地域によって相場が変わるため、オンラインなら報酬が安い事務所を探すことも出来ます。
事前相談では、名義変更したい土地や、相続の状況について伝えておきます。
ここで司法書士に支払う報酬について見積もりが貰えるので、金額についても確認し、納得できたら依頼しましょう。
ホームセレクトで相続した土地の売却を依頼していただける場合、司法書士の先生を無料で紹介しております。 |
6-2.必要書類を取得する
土地の名義変更に必要な書類は、司法書士から指示があります。
印鑑証明や自分の住民票など、自分で取得した方が早い書類は自分で取得しますが、被相続人の戸籍謄本など手間がかかるものは司法書士が集めてくれます。
6-3.識別情報を受け取る
自分が取得した書類を司法書士に渡したら、登記申請書などはすべて司法書士が作成し、法務局に提出してくれます。
手続きが完了し、名義変更ができたら、識別情報を司法書士から受け取って名義変更の手続きは完了です。
7.相続した土地の名義変更をスムーズに行うための3つのポイント
相続した土地の名義変更をスムーズに進めるためには、次の3つのポイントを押さえておくことがおすすめです。
名義変更をスムーズに進めるための3つのポイント |
|
それぞれについて詳しく紹介します。
7-1.安易に共有名義にしない
土地を誰の名義にするのかの話し合いがまとまらない場合、法定相続分に応じて共有名義にしてしまうことがあります。
しかし、土地の場合は共有名義は避けて単独名義にするのがおすすめです。
一旦共有名義にしてしまうと、名義人全員が同意しなければ土地を売却することはできません。また、名義人の一人が借金を返せなくなると、差し押さえを受けてしまうといったリスクも生じます。
さらに名義人の一人が亡くなった時、再度相続の問題が発生することがあります。
共有名義の名義人が亡くなり、名義を法定分で共有するとなると、さらに名義人の数が増えます。名義人の数が増えれば増えるほど、全員の同意を得て売却することが難しくなりますし、差し押さえなどのリスクが増えてしまうのです。
土地を相続して名義を変更する場合は、他の遺産とのバランスをみながら単独名義にするのがベストです。
土地が広い場合は、分筆し、それぞれ単独名義で名義変更してもよいでしょう。
7-2.遺産分割協議書には土地の情報を正確に記載する
遺産分割協議で土地を相続する場合は、遺産分割協議書に土地の情報を正確に記載しましょう。
「家が建っている土地」など曖昧な表現にしてしまうと、後々問題が発生する場合があります。
例えば家の隣に駐車場があり、家の敷地と駐車場の敷地がそれぞれ別の土地として登記されている場合があります。
この時、遺産分割協議書に「家が建っている土地」とあると、駐車場の土地は別だとして、他の相続人が相続の権利を主張し、揉めてしまう可能性があるのです。
あらかじめ土地の登記事項証明書を確認し、正確な情報を記載して遺産分割協議書を作成しておけば回避することができます。
遺産分割協議書に土地の相続について記載する場合は、
下記の土地は、相続人○○○○が相続する 所在:東京都○○区×× |
というように、土地についての情報を土地の登記事項証明書をもとに正確に記載しておきましょう。
7-3.難しい場合は不動産会社などのプロに相談する
土地を誰に相続するのかが決まらない場合や、代々名義変更をしていない場合など、名義変更が難しい場合や決まらない場合は、プロに相談しましょう。
どんな時 |
おすすめの専門家 |
遺産分割の意見がまとまらない |
弁護士 |
土地を相続しても相続税が払えない |
税理士 |
相続登記の手続きが難しい |
司法書士 |
土地を売却して売却益を分割したい |
不動産会社 |
土地を誰が相続するのかが意見が食い違ってまとまらない場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
また土地は分けるのが難しいため、売却して売却益を分割すると言うてもあります。その場合は不動産会社に相談するとよいでしょう。
売却を前提に不動産会社に相談すると、名義変更の手続きについてもサポートしてもらえる場合があります。
宮城・仙台で「はじめての不動産相続」なら |
はじめての不動産相続。どこに何を相談したらいいのか、お困りではありませんか? ・どこに相談すればいいのか? ・遺産分割は? ホームセレクトなら、どの段階からでも無料で相談ができます。また、相続に必要な手続きの無料診断サービスや相続の流れやアドバイスも実施しています。 さらに、相続の手続きを進めるうえで依頼する必要がある専門家(司法書士・税理士・弁護士)のご紹介や、納税で損をしないように減税制度のアドバイスもすべて無料! 宮城・仙台で「はじめての不動産相続」なら |
8.相続した土地の名義変更についてのQ&A
土地は大きな財産になりますから、相続の際に様々なトラブルや問題が発生することがあります。
いざ名義変更しようとしても、トラブルが起こってスムーズに進めることができなくなってしまうのです。
そこでよくあるトラブルを2つピックアップし、対処法をご紹介します。
トラブルが起こってもきちんと対処して土地を名義変更できるよう、あらかじめ確認しておきましょう。
8-1.数代に渡って名義変更していない土地を名義変更するにはどうすればいいのか?
土地の中には、数代にわたって名義変更がされていない場合もあります。
これは、相続した土地の名義変更が義務ではなかったため、名義人が亡くなっても名義変更しないままになっているケースが多くあったからです。
数代にわたって名義変更していない土地を自分の名義に変えるには、まずは現在名義人になっている人の戸籍を集めるなどの手続きが必要になります。
かなり手続きが難しく、集める書類なども多岐に渡りますから、このような場合は司法書士に依頼し、手続きを行ってもらうようにしましょう。
8-2.相続で揉めているが勝手に名義人を変えられてしまうことはあるのか?
法廷相続人であれば、遺産分割協議を待たずに法定相続分を自分の名義に変えることができます。
法定相続分に応じた共有名義であれば、遺産分割協議書がなくても相続人一人で申請し、名義変更することができると法律で認められているからです。
もし法定相続分に応じた共有名義にすることに不満がある場合は、正式に遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成することで相続登記をやり直して単独名義にすることも可能です。
どうしても話し合いに応じて貰えない場合は、家庭裁判所に申し立てることで遺産分割協議を行うことも出来ます。
9.まとめ
相続した土地の名義変更について紹介しました。
土地を相続したら、必ず名義変更を行わなくてはいけません。
なるべくスムーズに、費用をかけず名義変更するためにも、土地を相続したらなるべく早めに名義変更の手続きを行いましょう。
最後に相続した土地の名義変更についてまとめておきます。
◎土地の名義変更の期限
相続が発生した時 |
名義変更の期限 |
2024年4月1日よりも前 |
2027年4月1日 |
2024年4月1日以降 |
相続が発生してから3年以内 |
◎相続した土地の名義変更の方法は次の2つがあります。
- 自分で土地の名義変更を行う
- 司法書士に依頼する
手間と時間がかかっても費用を抑えたい場合は自分で土地の名義変更を行うのがおすすめです。
費用がかかってもなるべく早く手間なく名義変更したい場合は司法書士に依頼しましょう。
費用の目安は次の通りです。
自分で名義変更する場合 |
約5万円 |
司法書士に依頼する場合 |
約12万円 |
この記事を参考に、相続した土地の名義変更に必要な手続きの手順や費用を把握して、スムーズな名義変更に役立ててください。