「土地を相続したけれど、どうすればいいの?」
「相続した土地を登記するには、どんな手続きをすればいいの?」
土地を相続したけれど、なにをどのように手続きすればいいのか知りたいと思っていませんか?
土地を相続した時には、法務局で相続登記という手続きが必要です。
相続登記を行う方法には自分でやる方法と、司法書士に依頼する方法があり、それぞれ費用やメリット、デメリットが違います。
また、相続登記をスムーズに行うには、知っておくべきポイントがあるのです。
それらの知識がないまま相続登記を進めてしまうと、思ってもみなかったトラブルに見舞われたり、予想以上に費用がかかってしまったりといったことになってしまうこともあります。
そこでこの記事では、土地の相続登記について詳しく紹介します。
この記事を読めば、
◎土地の相続登記をする際に知っておくべき基礎と式
◎おすすめの土地の相続登記方法
◎相続登記に必要な書類
◎土地の相続登記をスムーズに進めるために押さえるべきポイント
がわかります。
土地の相続登記について詳しく知ることで、自分がどの方法で相続登記するべきかがわかります。
費用やそれぞれの方法のメリットとデメリットまで理解しておくことで、トラブルなく、スムーズに土地の相続登記を行うことが出来るようになるのです。
この記事を読んで、自分の相続登記をスムーズに、トラブルなく進めてください。
目次
1.土地の相続登記をする際に知っておくべき基礎知識
土地を相続し、相続登記をするにあたって、まずは相続登記の基礎知識を確認しておきましょう。
相続登記とは、そもそも何なのか、どんなことをするのか、いつまでにするのか、費用はいくらかかるのかなど基礎的な事について知らないままでは、スムーズに相続登記を進めることはできません。
そこで、この章では、
- 土地の相続登記とは
- 土地の相続登記の種類
- 土地の相続登記の方法
- 土地の相続登記の費用目安
- 土地の相続登記の期限
について解説していきます。
土地の相続登記をする前に、基礎知識を確認してスムーズに相続登記できるようにしていきましょう。
1-1.土地の相続登記とは
土地の相続登記とは、土地や建物などの不動産の所有者が亡くなった時、不動産を誰が所有しているのかという名義を被相続人に書きかえることです。
不動産登記とは、土地や建物などの不動産について
- どこにあるのか
- どんな大きさか
- 誰が所有しているのか
を記録しているものです。
これらの情報をまとめた台帳のことを「登記簿」といいます。
登記簿に載っている土地の所有者が亡くなり、相続が発生した場合、所有者を土地の相続人に書き換えなくてはなりません。
この「所有者を書き換える」手続きのことを相続登記というのです。
1-2.相続登記の種類
相続登記は、相続の状況によっていくつかの種類があります。
主な相続登記の種類は次の通りです。
相続登記の種類 |
内容 |
登録免許税 |
法定相続 |
遺言や遺産分割などの特殊な事情がなく、民法で定められた相続方法に従って土地を相続した場合 |
固定資産税評価額の0.4% |
遺産分割 |
遺産分割で、土地の持分(ひとつの土地を複数人で権利を持つ場合に誰がどれくらい所有しているかの割合)を変えた場合 |
固定資産税評価額の0.4% |
遺贈 |
遺言で土地を贈られた場合 |
固定資産税評価額の2% |
死因贈与 |
土地の所有者が亡くなった場合に効力を生じる死因贈与契約によって土地を相続した場合 |
固定資産税評価額の2% |
特別縁故者への |
被相続人の介護をしていた、生計をともにしていたなど特別の関係にあった人が相続する場合 |
固定資産税評価額の2% |
相続登記には「登録免許税」という税金が課税されますが、相続の状況によって税率が変わります。
また、相続登記の際に必要となる登記の申請書の書き方なども変わります。
まずは自分の相続がどれに当てはまるのかを考えて、申請書の書き方や費用について計算しましょう。
1-3.土地の相続登記の方法
相続登記には大きく分けると
①自分で手続きを行う方法
②司法書士に依頼する方法
の2つの方法があります。
それぞれの特徴を簡単にまとめましたので参考にしてください。
自分で手続きを行う |
司法書士に依頼する |
|
費用 |
安く済む |
高い |
時間 |
知識がないと長くなりやすい |
プロなのでスムーズに進む |
手間 |
自分ですべて行うので大変 |
ほとんどお任せできるので楽 |
自分で手続きを行うと、時間と手間がかかりますが、費用は安く済みます。
司法書士に依頼すると、ほとんど司法書士がやってくれるのでスムーズで楽ですが、費用は高くなります。
それぞれの特徴を考えて、自分がどちらがいいか選びましょう。
自分にはどちらの方法がよいのかについては「3.【目的別】おすすめの土地の相続登記方法」で紹介しますので、こちらを参考にしてください。
1-4.土地の相続登記の費用目安
土地の相続登記の費用は、相続する土地の価値や数によって変わります。
相続する土地の価値が高ければ高いほど、相続登記にかかる費用も高くなります。
また自分で相続登記の手続きを行うか、司法書士に依頼するかに寄っても変わります。
例えば1,000万円の土地を相続登記する場合では
- 自分で相続登記の手続きを行う場合は約5万円
- 司法書士に依頼する場合は約12万円
が費用の目安です。
費用の内訳は次の通りです。
◎自分で相続登記する場合
登録免許税 |
不動産登記をする際に納める税金 |
4万円 |
必要書類の発行費用 |
登記に必要な書類を発行するための手数料 |
1,000~3,000円 |
その他実費 |
交通費や郵送料など |
5,000~10,000円 |
合計 |
5万円 |
◎司法書士に依頼する場合
登録免許税 |
不動産登記をする際に納める税金 |
4万円 |
司法書士への報酬 |
司法書士へ手続きを依頼するための報酬 |
6~7万円 |
必要書類の発行費用 |
登記に必要な書類を発行するための手数料 |
1,000~3,000円 |
その他実費 |
交通費や郵送料など |
5,000~10,000円 |
合計 |
12万円 |
自分で行う場合と司法書士に依頼する場合で価格が大きく変わるのは、司法書士へ支払う報酬が必要になるからです。
司法書士への報酬は、依頼する事務所や相続内容によっても変わります。
また、登録免許税は相続登記する土地の価値によって変わります。
1-5.土地の相続登記の期限
2021年に法律が改正され、相続登記が義務化されたことにより、相続登記にはいつまでに行わなくてはならないという期限が設けられました。
土地を相続した時の相続登記の期限は
の2つがあります。
参考:法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し
1-5-1.期限① 相続があることを知ってから3年以内
土地を相続したのが、法律が施行される2024年4月1日以降の場合は、相続があることを知ってから3年以内に相続登記しなくてはいけません。
相続があることを知った状態とは、
被相続人が亡くなったことと、自分が相続人であることを知った状態です。
例えば相続人の配偶者や子どもの場合、被相続人が亡くなった時点で自分が相続人であることがわかっていますから、被相続人が亡くなった時点で相続が発生します。
しかし被相続人に配偶者や子供がいない場合、甥や姪、さらに遠い親戚などが相続人となることがあるのです。
その場合、自分が相続人であると知らされた時点から3年以内が期限となります。
遺産分割協議で誰が相続するか決まった後ではなく、自分が相続人であることを知ってから3年以内ですので、期限には注意しましょう。
1-5-2.期限② 2027年4月1日
土地を相続したのが2024年4月1日よりも前の場合、2027年4月1日が相続登記の期限です。
今回の法改正では、法律の施行前に相続が発生しているケースにおいても、相続登記の義務は科せられます。
つまり、土地を相続している人は全員必ず相続登記しなくてはいけませんから、なるべく早めに相続登記しておきましょう。
1-5-3.期限を過ぎると10万円以下の罰金
期限内に正当な理由がなく、相続登記を行わなかった場合は10万円以下の罰金が科せられます。
正当な理由とは、DVなどの理由で自分の住所を知られたくない、などやむを得ない場合です。
そのような理由がなく、相続登記を怠っていると罰金が発生してしまいますから、必ず早めに相続登記しましょう。
2.土地の相続登記はできるだけ早くしたほうがスムーズ
相続登記の期限は
①相続があることを知ってから3年以内
②2027年4月1日
であることを紹介しましたが、期限内であってもできるだけ早めにしたほうがお得です。
相続登記を早めにした方がよい理由は次の4つです。
- 相続人が増えて話がまとまりにくくなる
- 土地を売却したり担保に入れることができない
- 土地が差し押さえられる可能性がある
- 持分を売却される可能性がある
それぞれについて詳しくみていきましょう。
2-1.相続人が増えて話がまとまりにくくなる
相続登記を早めにした方がよい理由のひとつめは、相続人が増えて話がまとまりにくくなるからです。
相続から時間が経ってしまうと、相続人の中に亡くなってしまう方が出てくる可能性があります。
相続人がなくなると、相続の権利が配偶者や子どもに引き継がれます。
すると、相続人の数が増えてしまうのです。
相続は、相続人の数が多ければ多いほど、いろんな意見が出てしまいまとまりにくくなってしまいます。
話がまとまらなければ、遺産分割協議書が作成できず、土地の相続登記をするまでにどんどん時間がかかってしまうのです。
それを防ぐためにも、なるべく早めに遺産分割協議を行い、相続登記を済ませておくことが大切なのです。
2-2.土地を売却したり担保に入れることができない
相続登記を早めに行った方がよい二つ目の理由は、土地を売却したり担保に入れることができないからです。
土地の名義人が亡くなった人のままでは、土地を売却したり、担保に入れることはできません。
すぐに売るわけではないからと相続登記していない状態だと、いざ売却の機会が来た時に、相続登記に時間がかかり、売却のチャンスを逃すことがあります。
あらかじめ相続登記を済ませておくと、いざという時にもスムーズに話を進めることができるのです。
2-3.土地を差し押さえられる可能性がある
不動産登記を早めにしたほうがよい理由のみっつめは、土地を差し押さえされる可能性があるからです。
相続登記をしていない状態では、法定相続人は全員、民法で定められた持ち分で土地を相続する権利を持っています。
妻と子どもが三人いる場合は、
- 妻が2分の1
- 子どもが6分の1ずつ
土地を相続する権利を持つことになります。
例えば遺産分割協議で長男が土地を一人で相続する、と決まっていても、相続登記していない状態だと、他の人の権利も残ったままです。
この状態で、相続人の中に借金の返済が滞っている人がいた場合、債権者は持分に応じて不動産を差し押さえることができてしまいます。
一部でも差し押さえられた場合、長男は土地を自分のものとして相続登記できません。
長男が相続登記したい場合は借金分を返済して差し押さえを解除しなくてはならなくなります。
借金分を返済する時間がかかりますし、さらには自分が使ってもいない借金を支払わなくてはならず、金銭的にも損をしてしまうのです。
差し押さえを防ぐためにも、相続登記はなるべく早めに行うのがおすすめです。
2-4.持分を売却される可能性がある
早めに相続登記した方がよい理由のよっつめは、持分を売却される可能性があるからです。
先ほど紹介したように、相続登記していない状態では、法定相続人はそれぞれ土地を相続する権利を持ったままです。
遺産分割協議で一人が相続すると決まっていても、相続登記しなければ権利は残っている状態です。
そのため、遺産分割協議で長男が一人で土地を相続すると決まっていても、他の相続人が自分の持分を法定相続によって相続登記することができてしまうのです。
例えば次男が、自分の持分を先に法定相続で相続登記し、その持分を他の第三者に売却することもできてしまいます。
このような状態になると、土地を長男一人のものとして相続登記したいのなら、次男が売却した第三者から土地の権利を買い戻さなくてはならなくなります。
この状態を防ぐためにも、なるべく早めに相続登記した方がよいのです。
3.【目的別】おすすめの土地の相続登記方法
相続登記には、自分でやる方法と司法書士へ依頼する方法があることをお伝えしました。
しかし、どちらの方法が自分にはよいのか分からないと選ぶことができません。
そこでこの章では、目的別でおすすめの土地の相続登記方法を紹介します。
自分の目的に合わせて方法を選んでみましょう。
3-1.できるだけ楽に早く土地の相続登記をしたい|司法書士に依頼
できるだけ楽に早く土地の相続登記をしたい人は、司法書士に依頼する方法がおすすめです。
相続登記は法律で定められた書類を作成したり、戸籍謄本や住民票を揃えるなどさまざまな手続きが必要になります。
司法書士はプロとして手続きを熟知しており、土地の相続登記を行った経験もあるため、ほとんどの手続きをお任せできます。
そのため、司法書士にすべてお任せしてしまえば最短時間で楽に相続登記ができるのです。
メリット |
時間と手間がかからない |
デメリット |
費用が高い |
おすすめの人 |
忙しくて相続登記の手続きが自分でできない人 |
3-2.とにかく土地の相続登記にかかる費用を抑えたい|自分で手続き
土地の相続登記にかかる費用を抑えたい人は、自分で相続登記の手続きをすべて行う方法がおすすめです。
相続登記にかかる費用には、
①登録免許税
②必要な書類の発行手数料
③交通費や郵送代などの実費
④司法書士への報酬
の4つがあります。
このうち①〜④は必ず必要になる費用ですが、司法書士への報酬は自分で手続きを行えば支払わなくてよくなります。
司法書士への報酬は、土地の価値や数、相続の状況によって変わりますが、例えば1,000万円の土地建物の相続登記を行った場合、6万円~8万円ほどが平均です。
司法書士への報酬をなくすことができれば、相続登記にかかる費用を大幅に抑えることができますから、相続登記をなるべく安く済ませたい人は自分で相続登記の手続きを行いましょう。
メリット |
費用が最低限で済む |
デメリット |
自分ですべて手続きするので大変 |
おすすめの人 |
手間がかかっても費用を安く済ませたい人 |
3-3.費用は抑えたいけれど自分ですべて行うのは不安|一部を司法書士に依頼
土地の相続登記にかかる費用はなるべく抑えたいけれど、自分ですべて手続きを行うのは不安だという方は、必要書類の収集など自分でできるところは行い、相続登記の申請書の作成など一部の手続きを司法書士へ依頼するのがおすすめです。
すべてを司法書士へお任せするのではなく、書類の収集など自分でできるところは行い、申請書の作成や書類のチェックなど一部だけを司法書士にお願いすると、報酬を抑えることができます。
プロにチェックを依頼できるので、間違いが少なく安心です。
メリット |
プロに依頼できる安心感 |
デメリット |
書類は自分で集めなくてはいけない |
おすすめの人 |
自分ひとりでやるのは不安な人 |
4.土地の相続登記の手順
自分がどの方法で土地の相続登記を行った方が良いのか分かったら、次にどのように相続登記を進めていけばいいのかという手順について知っておくとスムーズに相続登記が進められます。
先ほど紹介した目的別の方法それぞれの手順を紹介しますので、
「4-1.司法書士にお任せする場合」
「4-2.自分で相続登記する場合」
「4-3.一部を司法書士に依頼する場合」
それぞれ自分に合った方法のところをチェックしてみてください。
4-1.司法書士にお任せする場合
司法書士に土地の相続登記をお任せする場合の手続きの手順は次の通りです。
①事前相談を行う
②必要書類を教えてもらい収集する
③登記完了後の識別情報を司法書士からもらう
4-1-1.事前相談を行う
司法書士に依頼する場合、まずはインターネットなどで司法書士事務所を探して依頼する事務所を決めていきます。
直接会って相談したい場合は「住んでいる地域 司法書士」で検索するのがオススメです。
オンラインで相談を受け付けている事務所もありますから、そちらを希望する場合は「オンライン相談 司法書士」と検索すると良いでしょう。
サイトに相続登記の報酬が記載されている場合は、そちらの費用を参考に事務所を選びます。
報酬が記載されていない場合はメールで問い合わせて、費用が予算内に収まる事務所を選びましょう。
司法書士事務所を選んだら、事前相談で相続する土地や相続の状況を伝えておきます。
この時点で見積もりを貰い費用について納得できれば契約し、相続登記を依頼します。
4-1-2.必要書類を教えてもらい収集する
司法書士から必要な書類の指示が貰えるので、住民票や印鑑証明を取得しましょう。
亡くなった方の戸籍謄本は司法書士が収集してくれます。
取得した書類は司法書士へ預けると、不備がないかチェックした上で作成した申請書などと共に法務局に提出してくれます。
4-1-3.登記完了後の識別情報を司法書士からもらう
法務局への書類提出などは司法書士が代行してくれるため、登記が完了後に不動産識別情報を司法書士から受け取り、報酬を支払えば土地の相続登記が完了します。
4-2.自分で相続登記する場合
自分で相続登記する場合の手順は次の通りです。
①相続登記する土地を管轄する法務局を調べる
②相談窓口で手続きを確認する
③必要書類を収集する
④申請書を作成する
⑤登記所に書類を提出する
4-2-1.相続登記する土地を管轄する法務局を調べる
土地の相続登記の申請は、その土地を管轄する法務局で行います。
まずは自分が相続登記する土地を管轄する法務局を調べましょう。
どの法務局かは法務局のホームページで調べることができます。
4-2-2.相談窓口で手続きを確認する
法務局では、相続登記をはじめとする登記手続きを自分で行う方に向けて、相談窓口を設けています。
相続登記を自分で行うのが初めてで、手続きに不明な点がある場合は、まずは相談窓口でアドバイスをもらうのがおすすめです。
どの法務局であっても相談窓口が設けられており、無料で利用できます。
相談窓口の利用は事前予約が必要な場合が多いため、まずは法務局のホームページで管轄する法務局またはお近くの法務局を調べた上で、事前に電話で予約を入れておきましょう。
4-2-3.必要書類を収集する
自分で申請する場合は、必要書類をすべて収集します。
相続登記に必要な書類は次の通りです。
書類 |
必要な場合 |
取得できるところ |
費用 |
被相続人の戸籍謄本一式 |
どんな場合も必要 |
本籍のある市町村役場 |
一通450円 |
被相続人の住民票の除票 |
住民票のある市町村役場 |
一通200~400円 |
|
相続人全員の戸籍謄本 |
本籍のある市町村役場 |
一通450円 |
|
相続人全員の住民票 |
住民票のある市町村役場 |
一通200~400円 |
|
固定資産税評価証明書 |
相続する土地がある |
一通200~400円 |
|
遺言書 |
遺言書による相続の場合 |
➖ |
➖ |
遺産分割協議書 |
遺産分割協議による |
➖ |
➖ |
相続人全員の印鑑証明 |
住民票のある市町村役場 |
一通200~500円 |
4-2-4.申請書を作成する
相続登記の申請書を作成します。
相続登記の申請書の書式は、法務局のホームページからダウンロードが可能です。
4-2-5.登記所に書類を提出する
必要書類と相続登記の申請書が揃ったら、法務局の登記所に書類を提出します。
書類の提出は直接窓口に足を運ぶ他、郵送、オンラインでも可能です。
オンラインで申請を行いたい場合はこちらのページを参考にしてください。
4-3.一部を司法書士に依頼する場合
なるべく費用を抑えるため、一部を司法書士に依頼する場合の手順は、司法書士に依頼する場合とほぼ同じです。
ただし、司法書士の手間を減らし報酬を抑えるため、必要書類の収集はすべて自分で行います。
事前相談の時点で、なるべく費用を抑えたいこと、書類は自分で集めることを伝えて見積もりを貰いましょう。
5.土地の相続登記をスムーズに進めるためにおさえるべきポイント
土地の相続登記をトラブルなくスムーズに進めるためには、いくつかの押さえておきたいポイントがあります。
土地の相続登記をスムーズに進めるためのポイントは次の3つです。
①土地はなるべく単独名義にする
②期限まで余裕を持って手続きする
それぞれ詳しくみていきましょう。
5-1.土地はなるべく単独名義にする
土地を相続するには、遺産分割協議などで一人の人の名義にする場合と、法定相続に従って相続人全員で共有名義にする場合があります。
法定相続に従った共有名義にすると、妻と子供二人が場合、
- 妻が2分の1
- 子どもがそれぞれ4分の1ずつ
土地を所有することになります。
法定相続に従った相続登記は遺産分割協議が必要なく、相続登記の手続き自体は簡単に終わりますが、売却したい場合に全員の意思決定が必要になるなど後々の手間が増えます。
また、相続人の一人が亡くなり、さらに相続が発生した場合、土地の名義人がさらに増え、相続がどんどん複雑になってしまうのです。
土地はなるべく単独名義にしておいた方がよいでしょう。
5-2.期限まで余裕を持って手続きする
期限まで余裕を持って手続きを始めるのも、スムーズに相続登記を進めるためには大切です。
いざ相続登記をしようとすると、亡くなった人の戸籍を繋げるのに手間取ってしまったり、本籍地が遠方で郵送での書類申請に時間がかかってしまったりと、思わぬことで時間がかかってしまう可能性があります。
例えば書類申請の場合、書類が市町村役場に届くまで2、3日かかります。
書類が届いてから手続きが始まり、発行した戸籍謄本を郵送するのに2、3日かかるため、1週間ほどかかってしまうのです。
書類に不備があると、さらに時間がかかってしまいます。
すでに相続が発生している場合は、期限まで余裕を持って相続登記の手続きを始めるようにしましょう。
6.土地の相続登記についてよくあるトラブルと対処法
土地の相続登記をしようと思って準備を進めていても、思ってもみなかったトラブルが起こることもあります。
トラブルに自信をもって対処するためにも、土地の相続で起きやすいトラブルと対処法を確認しておきましょう。
6-1.遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればいい?
土地の相続登記をしなくてはいけないのに、遺産分割協議がまとまらず期限が迫ってきてしまった場合は、「相続人申告登記」を行いましょう。
相続人申告登記とは、「自分がその土地の相続人であること」を申告する手続きです。
相続登記の法改正が行われる2024年4月から利用が可能です。
相続登記の期限は、法改正で相続が発生してから3年以内ですが、遺産分割協議がまとまらず3年の期限が迫ってきてしまった場合は、相続人申告登記を利用すれば義務を果たしたことになります。
相続登記とは違い、他の相続人の住民票などは必要なく、自分だけで手続きができます。
ただし、相続登記とは違い、土地の名義は被相続人のままで、土地を売却したり担保に入れることはできません。
遺産分割協議が終わったら、きちんと相続登記手続きを行いましょう。
参考:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し【民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要】
6-2.土地の名義人が亡くなった人の親だった場合はどうすればいい?
親から相続した土地を相続登記しようとしたとき、土地の名義が親ではなく祖父母だった場合は、まず祖父母から親への相続登記を行わなくてはなりません。
この場合は相続登記の手続きや、必要な書類が複雑になります。
まずは管轄の法務局の相談窓口に相談し、必要書類や手続きを確認しましょう。
管轄の法務局は法務局のホームページで調べることができます。
相談窓口を利用したい場合は、まずは電話で予約を入れておきましょう。
6-3.使い道がなく売れない土地の権利を放棄したい
土地を相続したものの、土地の使い道もなく、管理が大変で権利を放棄したい場合は「相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させる制度」が利用できるようになります。
今まで土地の権利を放棄したい場合は、土地以外の現金や家などの遺産も放棄しなくてはなりませんでした。
しかし、2024年4月に施行される法改正により、法務局へ申請し承認されれば土地の権利だけを国に返すことができるようになります。
法律の施行日が近づけば、より詳しい解説ページや申請手続きについての紹介が法務局のサイトに掲載されますから、利用したい場合は一度調べてみてください。
参考:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し【民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要】
7.まとめ
土地の相続登記についてご紹介しました。
相続登記は、法律で義務化され、必ず行わなくてはならない手続きです。
自分の土地の権利を守るためにも、なるべく早めにきちんと行いましょう。
最後に土地の相続登記についてまとめておきます。
◎土地の相続登記とは
土地や建物などの不動産の所有者が亡くなった時、不動産を誰が所有しているのかという名義を被相続人に書きかえること
◎土地の相続登記の方法
自分で手続きを行う方法と、司法書士に依頼する方法があります。
自分で手続きを行うと、時間と手間がかかりますが、費用は安く済みます。
司法書士に依頼すると、ほとんど司法書士がやってくれるのでスムーズで楽ですが、費用は高くなります。
◎土地の相続登記の費用の目安
1,000万円の土地を相続登記する場合
- 自分で相続登記の手続きを行う場合は約5万円
- 司法書士に依頼する場合は約12万円
◎土地の相続登記の期限
土地を相続した時の相続登記の期限は
- 2024年4月1日以降に相続が発生した時は相続があることを知ってから3年以内
- 2024年4月1日より前に相続が発生した時は2027年4月1日
期限を過ぎると10万円の罰金が科せられますから、期限内に相続登記しましょう。
期限内であっても相続登記は早めにするのがおすすめです。
◎おすすめの相続登記方法
- 早く楽に相続登記したい場合は司法書士に依頼する
- できるだけ費用を抑えたいなら自分で手続きする
- 費用は抑えたいけれど自分でやるのは不安な場合は一部を司法書士に依頼する
のがよいでしょう。
◎司法書士に依頼する時の手順
①事前相談を行う
②必要書類を教えてもらい収集する
③登記完了後の識別情報を司法書士からもらう
◎自分で相続登記をするときの手順
①相続登記する土地を管轄する法務局を調べる
②相談窓口で手続きを確認する
③必要書類を収集する
④申請書を作成する
⑤登記所に書類を提出する
◎相続登記をトラブルなくスムーズに進めるためのポイント
①遺産分割協議が終わったらなるべく早く相続登記する
②土地はなるべく単独名義にする
③期限まで余裕を持って手続きする
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ぜひお気軽にお問い合わせください。