「土地売却の際に、建物を解体しようか検討中だけど、いくらくらいかかるの?」
「解体費用を支払ってまで解体して、土地売却をした方がいいの?」
と疑問に感じていませんか?
実際の建物の解体費用の相場は以下の通りです。
建物の種類 |
20坪 |
40坪 |
60坪 |
80坪 |
木造 |
62〜130万円 |
124〜260万円 |
186〜390万円 |
248〜520万円 |
鉄骨造 |
68〜140万円 |
136〜280万円 |
204〜420万円 |
272〜560万円 |
RC造り |
70〜160万円 |
140〜320万円 |
210〜480万円 |
280〜640万円 |
こうして建物の解体費用の相場を見てみると、RC造の場合、80坪で640万円を支払わなければならないケースもあり、高額の解体費用が必要になる可能性があります。
しかし土地売却においては、高額でも解体費用を支払って更地にした方が良い場合と、解体をしないで土地売却をした方が良い場合があり、一概に解体費用だけでは判断できないのが実際のところです。
そこで本記事では、土地売却において建物を解体するべきか判断できるよう、以下の内容を解説していきます。
▼本記事の内容
|
本記事を読むことで、土地売却における解体費用がわかるだけでなく、費用を支払ってまで建物を解体して売却した方がいいのかどうか、ご自身の状況に合わせて判断ができるようになります。
ぜひ最後までお読みください。
目次
1.土地売却における建物の解体費用の相場
まずは建物を解体する際の費用について詳しく説明をしていきます。
1-1.解体費用の相場
土地売却において、建物の解体費用の相場は建物の種類によって異なります。
木造、鉄骨造、RC造の順に建物の構造が強くなり、取り壊すのに手間がかかるので、その分解体費用が高くなっていきます。
建物の構造・坪単価ごとの、解体費用相場は以下の表の通りです。
建物の種類 |
木造 |
鉄骨造 |
RC造 |
坪単価 |
3.1〜6.5万円 |
3.4〜7.0万円 |
3.5〜8.0万円 |
坪数ごとに見てみると、以下のようになります。
建物の種類 |
木造 |
鉄骨造 |
RC造 |
20坪 |
62〜130万円 |
68~140万円 |
70~160万円 |
40坪 |
124~260万円 |
136~280万円 |
140〜320万円 |
60坪 |
186~390万円 |
204~420万円 |
210~480万円 |
80坪 |
248~520万円 |
272~560万円 |
280~640万円 |
1-2.解体費用の内訳
解体費用の内訳は基本的に、以下4つの項目で構成されています。
内訳 |
内容 |
養生費 |
解体工事を行うために必要な仮設設備のための費用。 |
解体人件費 |
重機を運搬するオペレーターや現場作業をする人、廃棄物の運搬をする人など、作業に関わる人の人件費 。 |
重機使用料 |
解体工事を行うためにレンタルする重機の費用。 |
廃棄物処分費 |
解体工事によって出た廃棄物を処分するための費用。 |
上記の費用は、以下の状況次第で費用が変わります。
|
こちらの章でご紹介した解体費用はあくまで目安なので、解体費用を正確に知りたい場合は、不動産会社に相談しておすすめの解体業者を紹介してもらい、見積もりを出してもらうようにしましょう。
解体費用を少しでも安くしたいと考えている方は、以下の記事で解体費用を安くする方法をご紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
➡住宅の解体費用はいくら?坪数別の相場一覧と安くする工夫点5つ
2.土地売却で解体して更地にした場合としなかった場合の費用の違い
1章では解体費用の相場をご紹介しましたが、さらに具体的にイメージを持つために、土地売却で解体して更地にした場合としなかった場合の費用の違いを、実際の金額でシミュレーションして見てみましょう。
今回は以下の条件で土地売却をする想定のもとで、シミュレーションします。
▼シミュレーション条件
|
まずは土地売却にかかる費用を算出します。
費用 |
金額 |
仲介手数料 |
66万円 |
ローンの抵当権抹消費 |
3万円 |
土地の測量費用 |
45万円 |
印紙税 |
2万円 |
譲渡所得税 |
150万円(譲渡所得500万円で計算) |
住民税 |
45万円 |
復興特別所得税 |
3.2万円 |
土地売却にかかる費用合計 |
314.2万円 |
※土地売却にかかる費用について詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。
➡土地売却の費用はいくら?かかるお金の一覧表と費用削減・節税のコツ
次に解体費用を出します。
建物の構造は鉄骨造で建物の坪数は60坪なので、今回は解体費用は204万円です。
したがって、土地売却で解体した場合と解体しなかった場合の費用の違いは以下のようになります。
土地売却で解体した場合の費用 |
土地売却で解体しなかった場合の費用 |
土地売却の費用:314.2万円 合計:518.2万円 |
土地売却の費用:314.2万円 合計:314.2万円 |
解体費用だけで比べてみると、かなり大きな金額差があることがわかります。
3.土地売却において費用面だけで解体するかどうかを決めるのはおすすめしない
2章では土地売却で解体をした場合としなかった場合の費用を比較し、圧倒的に解体した場合の金額が大きいことがわかりました。
しかし土地売却において、費用面だけで解体をするかどうか決めるのはおすすめしません。
なぜなら土地売却においては、高額でも解体費用を支払って更地にした方が良い場合と、解体をしないで土地売却をした方が良い場合があり、一概に解体費用だけでは判断できないからです。
例えば建物付きで土地を売却すると全く売れない土地も、解体費用を支払っても更地にすることで、土地が売れやすくなるということもあるのです。
そこで4章以降は、解体費用を払ってでも土地を解体するべきなのか判断するために、解体して売却するメリット・デメリットや、解体した方がいい人・しない方がいい人などを詳しく解説していきます。
4.解体してから土地を売却する2つのメリット
まずは解体してから土地を売却するメリットをご紹介します。
メリットは以下の2点です。
それでは詳しく見ていきましょう。
4-1.土地が売れやすくなる
1つ目のメリットは、土地が売れやすくなるという点です。
建物を解体して土地を売却すれば、買主にとって解体の手間や費用が一切かからないだけでなく、すぐに新しい家の建築に取り掛かることができるので、新築を建てたい買主から土地が売れやすくなります。
一方で、建物を解体しないで土地を売却する場合、建物が建っていると新築を建てたい買主からは売れにくくなります。
また建物の老朽化が進んでいたり、旧耐震基準で建てられていて耐震構造に不安があったりする場合、土地と中古住宅を購入して住むことを検討している買主からも土地は売れにくくなってしまいます。
そのため更地にすれば売れにくくなる要因を少なくすることができ、特に新築を建てたいと考えている買主にとって魅力的に映り、早く土地が売却できます。
4-2.買主とのトラブルを未然に防ぐことができる
2つ目のメリットは、買主とのトラブルを未然に防ぐことができる点です。
解体して更地にしておけば、解体の段階で埋設物などに気付けて対処できたり、埋設物や地盤の調査を事前に行って対処したりできるので、買主に契約不適合責任を問われてトラブルになることを防げるのです。
そもそも売主は買主に対して、売却した土地に問題があった場合に契約不適合責任を負うよう定められています。
契約不適合責任とは、買主が購入した土地に埋設物があったり、地盤が軟弱であったりした場合に、売主が買主に対して負うことになる責任のことです。
売主が買主に対して契約不適合責任を負うことになると、以下の内容を請求されることになります。
- 埋設物撤去や地盤改良などの、補修費用
- 土地の購入金減額
- 損害賠償
- 契約解除
もし建物を解体せずに建物と土地を一緒に売却し、買主が後々建物を解体して土地に問題があった場合、買主が売主に対して契約不適合責任を問うということは、十分にあり得るのです。
更地にすることで、土地の埋没物を確認したり、地盤調査をしたりすることで、買主とのトラブルを未然に防ぐことができる点はメリットと言えるでしょう。
5.解体してから土地を売却する2つのデメリット
次に解体してから土地を売却するデメリットをご紹介します。
デメリットは以下の2点です。
それでは詳しく見ていきましょう。
5-1.より高く売れるチャンスを逃してしまう可能性がある
1つ目のデメリットは、建物を解体して土地を売却することによって、より高く売れるチャンスを逃してしまう可能性があるという点です。
というのも、土地と建物を一緒に売却することで、土地の価格に建物の価格をプラスでき、より高く売却できるケースがあるのです。
以下のケースに当てはまる場合は、土地をより高く売却できる可能性があります。
- 築25年未満の建物が土地の上に建っているケース
- 古民家としての価値があるケース
築25年未満の建物は、建物としての価値があると判断されて値段がつく可能性があります。
また、最近では古民家の懐かしい雰囲気や落ち着く空間に価値が見出され、古民家に住みたいと興味を持つ人も多くなっていて需要があり、建物に値段がつく可能性があるのです。
5-2.固定資産税が高くなってしまう
2つ目のデメリットは、固定資産税が高くなってしまうという点です。
建物付きで土地を売るのに比べて、更地にすると固定資産税は3〜4倍高くなってしまいます。
その理由は、建物が建っている土地は固定資産税が1/6に減額される、「住宅用地の軽減措置特例」というものがある一方、家を取り壊して更地にしてしまうと特例が適用外となってしまい、減額されないからです。
建物が建っている土地と比べて、更地は相対的に固定資産税が高くなるのです。
ただし固定資産税の住宅用地の軽減措置特例が適応されるかどうかは、1月1日時点で建物が解体されているかどうかで決まります。
解体時期を1月1日以降にして、年内に土地が売却できる場合は固定資産税が増額されることはなくなります。
解体時期と土地売却のタイミングを調整することができれば、デメリットはなくなるでしょう。
6.土地売却で建物を解体した方がいい人・しない方がいい人
第2章では土地売却において解体してから土地を売却するメリット・デメリットをご紹介しましたが、まだ解体費用を支払ってまで解体をするべきなのかどうか迷っている人もいるのではないでしょうか。
そこで5章では、土地売却で建物を解体した方がいい人としない方がいい人をそれぞれご紹介していきます。
6-1.土地売却で建物を解体したほうがいい人
土地売却で建物を解体した方がいい人は、以下の通りです。
- 土地を早く売りたい人
- 老朽化や耐震構造が不安な建物が建っている土地を売りたい人
- 買主とのトラブルになるリスクを減らしておきたい人
それでは詳しく見ていきましょう。
6-1-1.土地を早く売りたい人
土地を早く売りたい人は建物を解体してからの土地売却をおすすめします。
なぜなら更地にして売却することによって、買主は以下2点のメリットを享受できるので、購入希望者がすぐに現れ、スピーディに売れる可能性が高いからです。
- すぐに新しい家の建築に取り掛かることができ、解体工事の手間がかからない
- 解体費用を支払う必要がない
更地は買主に人気が出やすい物件なので、土地を早く売りたいと考えている場合は、建物を解体して土地売却をするようにしましょう。
6-1-2.老朽化や耐震構造が不安な建物が建っている土地を売りたい人
老朽化や耐震構造が不安な建物が建っている土地を売りたい人は、解体してから土地売却することをおすすめします。
不安要素のある建物が建っている土地を売却したいという買主はいません。
買主が安心して購入できる状態に土地を整えることで、土地が売れるようになるのです。
老朽化しているのかどうか、耐震構造が不安な建物であるのかどうかについては、不動産会社に相談して判断してもらうようにしましょう。
6-1-3.買主とトラブルになるリスクを減らしておきたい人
買主とのトラブルになるリスクを減らしておきたい人は、建物を解体して土地売却することをおすすめします。
というのも、建物を解体して更地にしておけば、解体の段階で埋設物などに気付けて対処できたり、埋設物や地盤の調査を事前に行って対処することで、買主に契約不適合責任を問われてトラブルになることを防げるのです。
買主とトラブルになるリスクを少しでも減らしておきたいと考える場合は、建物を解体して事前に土地の調査してから売却すると良いでしょう。
6-2.土地売却で建物を解体しない方がいい人
土地売却で建物を解体しない方がいい人は、以下の通りです。
- 土地売却において費用を抑えたい人
- 築25年未満の建物もしくは古民家が建っている土地を売却したい人
それでは詳しく見ていきましょう。
6-2-1.土地売却において費用を抑えたい人
土地売却において費用を抑えたい人は、土地売却で建物を解体しない方が良いでしょう。
なぜなら建物を解体して更地にしてしまうと解体費用がかかる上に、固定資産税が3〜4倍の金額に増額してしまうからです。
建物が建っている土地は固定資産税が1/6に減額される、「住宅用地の軽減措置特例」が適用されますが、更地にしてしまうとその特例は適用外になってしまいます。
そのため土地売却において費用を増やしたくない、できれば抑えたいと考えている場合は解体をしない方が良いでしょう。
6-2-2.築25年未満の建物もしくは古民家が建っている土地を売却したい人
築25年未満の建物もしくは古民家が建っている土地を売却したい人は、建物を解体しない方が良いでしょう。
その理由は土地の価格に建物の価格をプラスでき、より高く売却できる可能性があるからです。
先述の通り、築25年未満の建物は、建物としての価値があると判断されて値段がつく可能性があります。
また、最近では古民家に価値が見出され、住みたいという人が多く需要があるため、建物に値段がつく可能性があるのです。
古家や古民家をリノベーションしてよりお洒落に、暮らしやすく変えて売却する方法などもあるので、不動産会社と相談して決めると良いでしょう。
7.土地売却において解体する際の注意点
土地を売却する前に解体をしようと決めた方は、解体する前に知っておきたい注意点があります。
それは家を解体してしまうと、新たに家が建てられない可能性があるという点です。
国や自治体の決め事で、新築はしてはいけないエリアがあるのです。
例えば、売却したい土地が「市街化調整区域」の場合、新築を建てる際に建築範囲が限られたり、新築が許可されない場合があります。
市街化調整区域とは、無秩序に市街地が拡大していくことを防ぎ、その土地の景観を維持する地域のことです。
市街化調整区域で新築を建てることが許されるのは、その家にこれまで暮らしていた家族に限定されてしまう場合があります。
また「建築基準法」によって、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していない土地には建物を再建築できないと決められている場合もあります。
ただし自治体によっては市街化調整区域と指定しているエリアでも建築がを認めている場合があります。
新しく建物を建てることが可能かどうか、自治体の担当部署に問い合わせをして確認するようにしましょう。
8.解体するべきか迷う場合は不動産会社へ相談する
建物と土地を一緒に売った方が売却価格がアップするのか、解体して更地で売却した方が売却価格がアップするのかは、実際のところ個人で判断が難しい場合が多いです。
そこで不動産会社を頼れば、建物を解体して売却した方が良いのか、古家付きのまま売却した方がいいのか、それぞれの売却価格や、どっちの方が売れやすいのかを、知ることができます。
しかし、不動産会社がたくさんありすぎてどこに依頼すればいいのかわからない、と感じる方も多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめできるのが一括査定サービスです。
一括査定サービスを利用すれば、複数の不動産会社から売却価格を出してもらうことができます。
自分の土地はどのくらいで売れるのか、更地で売った方が高く売れるのか、古家付きで売った方が高く売れるのかなどがわかるだけでなく、一番有利な条件で不動産会社へ依頼することも可能です。
弊社でも「複数いっかつ査定」というサービスを提供していますので、ぜひご利用下さい。
9.まとめ
今回は土地売却における解体費用の相場や、土地売却において解体するメリット・デメリット、解体した方がいいケース・しない方がいいケースなどをご紹介しました。
改めて本記事の内容をおさらいしましょう。
◆解体費用相場
建物の種類 |
木造 |
鉄骨造 |
RC造 |
20坪 |
62〜130万円 |
68~140万円 |
70~160万円 |
40坪 |
124~260万円 |
136~280万円 |
140〜320万円 |
60坪 |
186~390万円 |
204~420万円 |
210~480万円 |
80坪 |
248~520万円 |
272~560万円 |
280~640万円 |
◆解体費用の内訳
内訳 |
内容 |
養生費 |
解体工事を行うために必要な仮設設備のための費用。 |
解体人件費 |
重機を運搬するオペレーターや現場作業をする人、廃棄物の運搬をする人など、作業に関わる人の人件費 。 |
重機使用料 |
解体工事を行うためにレンタルする重機の費用。 |
廃棄物処分費 |
解体工事によって出た廃棄物を処分するための費用。 |
◆土地売却において費用面だけで解体するかどうかを決めるのはおすすめしない
◆解体してから土地を売却するメリット
◆解体してから土地を売却するデメリット
◆土地売却において解体した方がいい人、しないほうがいい人
◆土地売却において解体する際の注意点
- 新しく家が建てられない可能性がある
- 固定資産税の負担が増えてしまう
本記事が土地売却の際に参考になれば幸いです。