不動産購入コラム
【2022年10月以降】全国平均0.7%引き下げ!地震保険料の改定で保険料はどうなる?
2022年10月以降、火災保険料の改定とあわせて地震保険料も改定されます。
「また値上げ?」と思うかもしれませんね。
関連記事「【2022年10月】火災保険の10年契約が廃止で実質値上げ!今できる保険の見直し方」
しかし、地震保険の改定は値上げというより値下げ傾向にあります。地震保険料の元になる「地震保険基準料率」が全国平均で0.7%引き下げられるため、地震保険料は据え置きまたは引き下げとなる可能性があるでしょう。
今回は、地震保険料改定の背景や改定内容、地震保険の必要性について解説します。
「自分が住んでいる地域や建物の保険料はどうなる?」「そもそも地震保険って本当に必要?」と疑問のある人は、参考にしてみてください。
2022年10月に地震保険料の基準料率が改定される
2022年10月1日以降が契約始期となる場合、火災保険とあわせて地震保険も改定されます。今回の改定では軒並み保険料が上がる火災保険と違い、地震保険料は全国平均で下がる傾向にあります。
<今回の主な改定ポイント※>2022年10月1日以降が契約始期となる保険契約に対し適用される
・【値下げ要因】ポイント1:火災保険料の算定基準となる地震保険基準料率が全国平均で▲0.7%引き下げになる
・【値上げ要因】ポイント2:地震保険の長期契約(5年)の割引幅が現行7%→6%に見直しされる
ポイント1の改定では、一部の都道府県・物件を除き多くの地域・物件で保険料率は据え置きまたは引き下げとなります。しかし、ポイント2の改定では、地震保険の長期契約の割引幅が縮小されます。これにより、地震保険料自体は引き下げ対象でも、契約方法によっては値上がりになってしまうケースもあるでしょう。
ただし、現在加入している地震保険の保険料が直ちに変更になるわけではありません。変更になるのはあくまで「2022年10月1日以降が契約始期となる契約」に対してのみです。影響があるのは新規契約のみで、2022年10月以前の既存契約については、次の更新時期が来るまで現在の保険料が続きます。
一方、今から地震保険の加入を考えている人については2022年10月を境に保険料が変わる可能性があるため注意が必要です。改定前か改定後、どちらの保険料がお得かを確認して加入タイミングを決めましょう。
※出典:損害保険料率算出機構 2021年6月10日付「地震保険基準料率改定の届出のご案内」
地震保険の基準料率とは
今回改定される「地震保険の基準料率」は地震保険料の元になる料率で、損害保険料率算出機構が算出しています。各保険会社はこの基準料率を基準に自社の地震保険料を設定しており、基準料率の改定があれば自社の保険料も見直すケースがほとんどです。
先述したように、基準料率が改定されて直ちに加入中の地震保険料が変わるわけではありません。保険料改定は2022年10月以降の新契約に適用されるもので、既存契約は現在の保険料が契約満期まで続きます。ただし、地震保険の契約は最長5年となっていて意外と短く、満期がくるのは想像以上に早いです。2022年10月以降に満期がくる人は、10月前後で保険料がどう変わるかをチェックしておくといいでしょう。
10月以降に保険料が引き上げになる都道府県や建物にお住まいの人は、10月以前に既存契約を見直したほうがいいのか確認してみてください。見直しには解約返戻金の計算が必要になるため、保険代理店の担当に尋ねてみるといいでしょう。
2022年10月の改定に向けて、すでに複数の損害保険会社では地震保険料改定の案内が出されています。自分が加入している保険会社ではどのような対応なのか、保険会社のウェブサイトでチェックすることも忘れないでください。
今回の改定で地震保険料が引き上げになる都道府県・引き下げになる都道府県
地震保険料は、住んでいる都道府県と建物構造によって決まります。
今回の改定では多くの都道府県・建物の地震保険料が据え置きか引き上げとなりますが、一部では引き上げになる場合もあります。ここでは、引き上げ率が高い都道府県と、引き下げ率が高い都道府県を建物別にまとめました。ご自身の居住地がないか、チェックしてみてください。
<引き上げ率が高い都道府県>
都道府県 |
建物の構造※ |
地震保険基本料率の引き上げ率 |
茨城県、埼玉県、徳島県、高知県 |
イ構造 |
+29.9% |
茨城県、埼玉県 |
ロ構造 |
+12.3% |
<引き下げ率が高い都道府県>
都道府県 |
建物の構造※1 |
地震保険基本料率の引き上げ率 |
大分県 |
イ構造 |
▲38.1% |
ロ構造 |
▲47.2% |
※1 イ構造:耐火性能を有する建物および準耐火性能を有する建物(主として鉄骨・コンクリート造の建物)
※1 ロ構造:イ構造以外の建物(主として木造の建物)
茨城県や埼玉県はどちらの構造でも引き上げ率が高いため、改定前に保険料を見直してみるといいでしょう※2。一方、大分県は引き下げ率が高く、改定後に見直したほうが保険料はお得になる可能性があります。そのほかの都道府県の料率の変化は、以下のページでご確認ください。ほとんどの都道府県は引き下げ、もしくは据え置き(±0.0%)になっていることがわかります。
※2 改定料率の出典:損害保険料率算出機構 2021年6月10日付「地震保険基準料率改定の届出のご案内」の詳細
実際、地震保険って必要?全国平均を見てみよう
そもそも、「地震保険って本当に必要なの?」と思う人もいるのではないでしょうか。 結論から言うと、大切な住宅を守るためにも地震保険の加入はおすすめします。
おすすめする一つ目の理由は、日本は世界有数の地震大国だからです。世界で発生しているマグニチュード6の地震のうち、約20%は日本付近で発生しているほど地震リスクの高い国です。 こうした背景から政府は民間の保険会社と共同で地震保険を運営しています。つまり、地震保険は極めて公共性が高い保険なのです。
二つ目の理由は、火災保険だけでは地震や津波を原因とした損害が補償されないからです。しかし大地震の発生時には火災や津波による損害が起きやすく、損害額も大きくなる傾向があります。地震リスクが高い日本ではいつ大きな地震が起きるかわかりません。大切な住宅に万が一のことが起きたときの損害を考えると、政府がバックアップしている地震保険を備えておくほうが安心ではないでしょうか。
損害保険料率算出機構の調査※によれば、火災保険に地震保険を付帯する割合は全国平均で68.3%。年々付帯率は上がっています。実際、過去大地震で被害を受けた宮城県は87.5%、熊本県は84.5%という高い付帯率です。過去の災害を教訓として、地震保険に備えている家庭が多いことがわかりますね。もちろん 宮城県や熊本県以外の地域でも、大規模な地震はいつどこで起きるかわかりません。万が一に備えて、地震保険で大切な住宅のお守りを用意しておきましょう。
出典:損害保険料率算出機構「地震保険 地方(市・区等)別付帯率」
まとめ
火災保険と地震保険は、2022年10月1日以降に改定されます。 火災保険は改定で保険料が上がるケースが多いですが、地震保険は改定で保険料が下がるか、据え置きになる都道府県・物件がほとんどです。ただし、長期契約の割引率が縮小されることで、契約内容によっては保険料が上がるケースもあります。保険料の変化は、ケースバイケースと言えるでしょう。 地震大国である日本において、大規模な地震に備えられる地震保険は非常に重要な保険です。地震保険の必要性について悩んでいる人は、リスクと過去の損害をよく鑑みたうえで加入を検討してください。
なお、弊社ホームセレクトでは、住宅購入に伴う火災保険・地震保険の相談も受け付けています。住宅のプロとしてお客様に適した保険をご案内しているため、お気軽にお声がけください。